行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

『蜘蛛の糸』の著者を漢字で書け

という問題が 中一国語の期末試験で出たとき「芥」の字が分からず 先生が見間違えて◯を付けるのを期待して(セコいチュウ坊)、茶川龍之介と書いたものです。モチロンXでした。 (「龍」は書けた。龍虎という力士がいたので。私は小学校低学年から相撲オタ…

山崎朋子『サンダカンまで わたしの生きた道』

昭和7年(1932年)生れの著者が『サンダカン八番娼館』を出版した昭和40年代までの自伝です。朝日新聞社 2001年刊。 読んでいろんなことを考えさせられたが一つあげるなら、昭和20〜30年代の女性の「生きづらさ」。モチロン著者は犯罪被害者(強く憎むべき種…

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』

1995年11月に行われた対談。 両氏の持ち味が存分に発揮されています。←この言い方は「巨人」たちに向かって軽すぎるけどね。 話題は多岐にわたります。同じ年の1月に大震災、3月に地下鉄サリンが起こったことを意識しながら読むといっそう深い(この災害と事…

阿川弘之『雲の墓標』

1942年に東大を繰り上げ卒業し 海軍予備学生として入隊した著者の体験を踏まえた、日記仕立ての小説。1956年発行。(著者は阿川佐和子さんの父) 京大学徒吉野次郎は昭和18年(1943年)12月10日 広島の海兵団に入った。その当初は「戦局は日本に有利な状況で…

『文盲 アゴタ・クリストフ自伝』

『悪童日記』他の三部作で知られるアゴタ・クリストフの自伝『文盲』。 1935年ハンガリーに生まれ 「わたしは読む。病気のようなものだ。手当たりしだい、目にとまるものは何でも読」んでいた4歳のときから、略歴の そのときどきに彼女がどう思い、何を感じ…

『ベロニカは死ぬことにした』

自殺する時が ようやく!来た。彼女はベロニカ、24歳。ベッドサイド・テーブルから睡眠薬を四包み取り出した。五分後には、包みは全て空になっていた。、、、目を開けた時、死んでいなかった。精神科病院に入院していた。心臓が深刻なダメージを被っていて余…

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

全作読んでいるハルキ長編の一作。2013年刊。 タイトルの「色彩を持たない多崎つくる」には、「文字通りの意味」と「もう一つの含意」が。 「文字通りの意味」は8ページ目ですぐに明らかになる。(そして彼が関わるのは皆「文字通りの意味」での「色彩を持つ…

村上春樹『東京奇譚集』

目撃された 死んだはずの息子、夜中に動いている机の上の石、高層マンションの階段で夫が「消えた」、、、奇譚仕掛けの5編を収録。 人の心のヒダが深く静かに描かれている。(なお、性表現はほとんどなし。)2005年刊。 とりわけ『品川猿』。 結婚3年目の主…

『23分間の奇跡』

ジェームズ・グラベル著(青島幸男訳)集英社 1983年(原書は81年)原題 The Children´s Story…but not just for childrenまさに23分間ほどで読めますので もしよろしければ読んでみてください。先週アップした オーウェルの『1984年』『動物農場』と共通の…

ジョージ・オーウェル『象を撃つ』

オーウェルのエッセイ『象を撃つ』を読みました。(『アンソロジー人間の情景8 動物との日々』文春文庫 に収録。) 彼がビルマの植民地警察に勤務していたとき 象と「対峙」したある体験が綴られています。付されている、「彼自身の階級とそのモラル に対す…

ジョージ・オーウェル『動物農場』

『1984年』と共に、著者が全体主義の恐ろしさを描いた小説。本作では、風刺が前面に押し出されています。 このちくま文庫版には開高健の論考が収められていますが、1984年に書かれたこの文章で、『1984年』の「予言が外れたことを我々は喜びたいのだけれども…

『死後離婚』

「死後離婚」なる法的制度は無いことにまずご注意ください。夫または妻の死後に あたかも離婚するような「方法」があるということです(法的制度たる離婚とは様々な点で異なる)。リードに列記されたような悩みの「解決策」候補として。新書サイズ、大きめの…

與那覇 潤『中国化する日本』

2011年 文藝春秋発行。なかなかエキサイティングな1冊。タイトルから想像されるようなことは書いてありません。すなわち、親中媚中または反中嫌中どちらのタグイでもなく。「グローバル化」の特徴のいくつもがお隣の中国では千年前の宋期に「実現」、つまり…

名文ミステリー⁈谷崎潤一郎

以下、「ミステリー」をひじょうに広い意味で使います。 ミステリーについて私メが語れるとしたら エラリー・クイーンと折原一とスティーヴン・グリーンリーフと「刑事コロンボ」ノベライズを読み倒したコトがある(小学校図書室にあった 子ども向けのホーム…

西村賢太をいっぺん読んでみたい方へ

うってつけかも。セレクトされた6編は 既刊短編集の表題作クラス揃い。 隠れファンが多い?西村私小説の中でも 隠れファンの多い?同棲相手・秋恵登場作もあり。 TVドラマ「相棒」でブレイクした俳優・六角精児の巻末解説もまた良し。 miyashinkun.hatenablo…

ビートたけし『ゴンちゃん、またね。』

(ワタシと同じく)ワンコ党にオススメ。 週刊文春3月29日号です。 ゴンちゃんは柴犬 だけど たけし の絵、柴にはあんまり見えないかなあ⁇ 犬モノ↓↓↓ miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com

天童荒太『悼む人』

その青年は「悼む人」。野宿をしながら全国を回って 誰であれ どんな死に方であれ 「悼む」、、、 2006年から2008年まで『オール讀物』に連載された小説です。 読みながら、 「イスラム国」に殺害された日本人の ジャーナリストの人ともう一人に対するメディ…

『世界がもし100人の村だったら』

2001年 マガジンハウス発行 9.11のあと読み継がれましたね。「すべてのエネルギーのうち 20人が80%を使い 80人が20%を分けあっています」「20人は栄養がじゅうぶんでなく 1人は死にそうなほどです でも15人は太り過ぎです」「17人は、きれいで安全な水を飲…

なぎら健壱『日本フォーク私的大全』

最近はぶらぶら歩き系の番組でよく見かける テレビで微妙な?存在感の なぎら健壱は元々はフォークシンガー(を知ってる私のトシが分かる^^;)。 60年代70年代フォークに魅せられて自らもシンガーソングライターになった なぎら健壱が、その時期のフォークシ…

いとうせいこう著『「国境なき医師団」を見に行く』

7年前のきょう311を独自の視点で小説『想像ラジオ』化した いとうせいこう氏が2016~2017年、国境なき医師団の活動を「見に行」った。大震災からの復興もままならないハイチ、フィリピンのスラム、ギリシャとウガンダでは難民ケア。「ジャーナリストの方法で…

松本清張『北の詩人』

朝鮮半島情勢が耳目を集めている今、再読。出版は1964年。 植民地時代→朝鮮戦争の「政治」に翻弄され、胸の病ゆえに信念が揺らいだ、朝鮮半島のある詩人が描かれています。 推理小説、SF、古代史探求、現代史(謀略モノ)、、、とジャンルが幅広い清張作品の…

ガルシア・マルケス『百年の孤独』

これまで読んだなかで イマジネーションの海に心地よく溺れた小説と言えばイの一番に本作です。(著者は1982年度ノーベル文学賞)南米の小さな村の100年に及ぶ物語。大部である上に 話がドンドン転がるストーリーテリングとは真逆なので 時間と気持ちにゆと…

藤谷治『茅野家の兄妹』

「どのような形でも構わないから、これを公表してもらいたい」と ぶ厚いノート3冊が旧知の男から小説家の私に送られてきた。男の求め通り「茅原家の兄妹」と題して、文芸誌で連載を始める。小説仕立てにして。 没落した資産家兄妹が暮らす山奥の広大な別荘に…

今年初泣きした本

『ソマリランドからアメリカを超える 辺境の学校で爆発する才能』 ジョナサン・スター著 黒住奈央子・御舩由美子訳 角川書店 2017年 オーナー兼校長である著者が、アフリカ東部ソマリランドで学校設立に着手した2008年から数多のトラブルを乗り越え卒業生の…

西村賢太私小説 新刊

今年1月 講談社から発行された短編集『夜更けの川に落葉は流れて』です。西村作品のタイトルは、表題作のように内容とミスマッチな文学的趣深いのと 収録作「青痰麺」のように内容通り嫌悪感を覚えさせるのがありますがいずれにしても 主人公・北町貫多(≒西…

萩原恭次郎『死刑宣告』

萩原恭次郎(1899-1938)は 高名な詩人 萩原朔太郎と同時代同郷の詩人。 1925(大正14)に上梓された詩集『死刑宣告』の復刻版です。 このデザイン! このレイアウト!(というカタカナ言葉では薄っぺらく感じられるほどの!!) 70年代アングラ的な(ベタ)…

中村文則『銃』

偶然にも拳銃を拾った青年の心象を深く鋭く掘り下げていく小説です。とてつもない異物に直面した人間を描くのは文学の(いや芸術全般の)定石の一つではありましょうが、本作は高いレベルでそれに成功しているように思いました。新潮文庫 2006年発行。 そう…

昨年話題映画「メッセージ」原作

2003年(原著は2002年)発行のSF短編集。表題作が 映画「メッセージ」の原作です。 地球に訪れた異星人が使う言語は、私たちとはまるっきり体系も次元も異なるモノだった。その意思疎通に取り組む女性研究者。ときおり挟まる、彼女と娘との親子の会話が共通…

佐野眞一ノンフィクション

数年前の筆禍事件(と言うべきか)以来、、、の佐野氏ですが 大量にして重層的な取材。その結果を淡々と ならぬ自らの世界観を前面に押し出した その視座からの ナルホドこれが佐野ブシ!と言うべき その人物評伝は、余人をもって代え難いと思います。 たく…

宮下奈都『ふたつのしるし』

心地よい読後感。素敵な小説です。幻冬舎、2014年発行。著者は一昨年『羊と鋼の森』で直木賞を受賞しました。 「落ちこぼれ」の彼が東京の小学校に、優等生の彼女が金沢の中学に入学した1991年に物語は始まる。その20年後すなわち「あの」2011年、接点などま…