行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

「悪い」と「良くなっている」は両立する

『ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』を読みました。日経BP社2019年発行(原著は2018年)。 「悪い」と「良くなっている」は両立する、と本書は説きます。「悪い」は現在の状態、「良くなっている」は変化の方向…

濱野ちひろ『聖なるズー』

集英社 2019年発行。開高健ノンフィクション賞受賞作。 動物性愛者を追ったノンフィクション。知られざる世界を示すことがノンフィクションの大きな目的とするならば、本作は読んでよかったと思える作品です。ほとんど知らない(知りたくもない)ながら おぞ…

ユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessonsー21世紀の人類のための21の思考』

2010年代のベストセラー『サピエンス全史ー文明の構造と人類の幸福』『ホモ・デウスーテクノロジーとサピエンスの未来』を著した気鋭の歴史学者による新作『21 Lessons〜』(2019年11月 河出書房新社発行、原著は2018年)を読みました。 人類社会について前2…

フロイス『ヨーロッパ文化と日本文化』

16世紀戦国時代に何十年間も布教を行なった キリスト教ポルトガル人宣教師が、豊臣秀吉による禁教令が発布される前の時期に日本社会のあれこれを観察して著した。こんな具合に・・・「ヨーロッパ人は大きな目を美しいとしている。日本人はそれをおそろしいも…

又吉直樹(ピース又吉)3作目を読んで

ラストのセンテンスがあまりにも凡庸なのはどうしてでしょうか。又吉直樹氏は芥川賞を受賞した『火花』でデビューして以来、タレントの余技などではなく、文学は言葉の表現たることに真正面から取り組んでいると私は思います。昨年刊行された又吉氏3作目『人…

「311」 地べたの報告

2011年3月11日14時46分。「ドドン!という縦揺れの後、最初のグラグラッという横揺れが、ゆっくりとグーラグーラという大きな横揺れに変わり何分間か続いた」。「何分間か経って、その大きな横揺れがだんだん小さくなってきて」「次の瞬間、ゴゴォー!っとい…

松本清張生誕110年

昨日は松本清張の生誕110年。ワタシ的に清張と言えば・・・ 幅広い清張作品の中でも異色と言えるだろう『北の詩人』。 miyashinkun.hatenablog.com あまりにも有名な、『砂の器』映画化。 miyashinkun.hatenablog.com 何から何まで違う太宰治と同い年とは意…

警察官 拳銃置き忘れというニュースから・・・

news.yahoo.co.jp 中村文則の佳作『銃』↓を思い出しました。 miyashinkun.hatenablog.com

三木義一『税のタブー』

複雑にして不公平という、日本の「税のタブー」に切り込んだ書である。2019年8月集英社発行。著者は税制の専門家である青山学院大学学長。「パナマ文書」になぜ日本の政治家の名が出てこないのか→政治家にとって日本が遥かに安全で確実な租税回避地だからを…

カルピス100周年

「カルピス」ブランド誕生100周年の今年、読みました↓。この一年間でとても印象深かった本の一つです。 miyashinkun.hatenablog.com www.calpis100th.jp

きょう 太平洋戦争開戦の日

猪瀬直樹著『昭和16年夏の敗戦』(1983年発行) 1941年4月 官制の「総力戦研究所」が発足。各省庁等(含陸海軍)から30余人の30代俊英が出向して行われた対米戦のシュミレーションを 開戦に至る現実政治の意思決定とパラレルに描いたノンフィクションです。 …

『服従』

ミシェル・ウエルベックの小説『服従』 河出文庫2017年刊(原著は2015年) 自由が封じられた社会、そのラストで主人公は。オーウェル『1984年』では「服従」し、村上春樹『1Q84』では「服従」しなかった。202X年の本作で一人称の主人公である40代男性教授は…

江戸時代のキリシタン

ローマ法王は今回の訪日でまず長崎に赴きましたが、 長崎と言えば禁教時代のキリシタン。 去年の秋、私はあれこれ考えました↓↓↓ miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com

吉田裕『日本軍兵士ーアジア・太平洋戦争の現実』

2017年12月発行。先の大戦で日本の軍人・軍属の戦没者230万人の過半は戦闘による以外、戦病死・餓死・自殺等であった。それでどうやって勝つつもりだったのか?という、実証による問題提起の書。もちろん、その問題意識は勝ち負けの戦術論戦略論ではない。

ノンフィクション賞受賞作

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社2019年刊。今年度の本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞作でもある。 イングランドで長年暮らす日本人の著者とアイルランド人の夫との一人息子が2017年9月、中学校に入学してからの1年…

『マチネの終わりに』映画化

matinee-movie.jp 「彼」が福山雅治、「彼女」が石田ゆり子。ナルホド! miyashinkun.hatenablog.com

私的オールタイム10冊

ドストエフスキー『罪と罰』や漱石『こころ』やカフカ『審判』 あるいは村上春樹やカズオ・イシグロではあったりまえすぎる?ので ほぼ読んだ順で、他の時期に読んでいたら入らないかも の私的で私的な10冊。 ①クイーン『Yの悲劇』中坊のとき初めて読んだ大…

「選べなかった命」

河合香織『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』 2018年発行 2014年6月、函館地裁で判決が下された。出生前検査で「染色体異常なし」と診断されたにもかかわらず重篤なダウン症だった子が出生後苦しみながら3か月半で死亡した事態に関する民事訴訟…

小説「デフ・ヴォイス」シリーズ

丸山正樹氏による小説。『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』は2011年発行の長編(2015年に文庫化)、『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』は2018年発行で中編+長めの短編+短編を収録、『慟哭は聴こえない デフ・ヴォイス』は2019年発行で短編4作が収めら…

「天安門事件」は再び起きるか? 香港は?

今年の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した安田峰俊著『八九六四 「天安門」は再び起きるか』(2018年5月刊行)を読んだ。メインタイトルの「八九六四」は軍が民衆を鎮圧した天安門事件の日付1989年6月4日の意。サブタイトルの「『天安門事件』は〜」は①中…

『蜘蛛の糸』の著者を漢字で書け

という問題が 中一国語の期末試験で出たとき「芥」の字が分からず 先生が見間違えて◯を付けるのを期待して(セコいチュウ坊)、茶川龍之介と書いたものです。モチロンXでした。 (「龍」は書けた。龍虎という力士がいたので。私は小学校低学年から相撲オタ…

『世界がもし100人の村だったら』

2001年 マガジンハウス発行 9.11のあと読み継がれましたね。「すべてのエネルギーのうち 20人が80%を使い 80人が20%を分けあっています」「20人は栄養がじゅうぶんでなく 1人は死にそうなほどです でも15人は太り過ぎです」「17人は、きれいで安全な水を飲…

トランプ大統領は究極の不確実性⁇

矢部宏治『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』 条約、法律、日米の公開文書、首脳を初めとした日米の政治家や軍人の発言。第二次大戦末期からのそれらを著者は整合的に読み解いて、終戦から現在に至るまで日本の軍事主権≒国家主権は米国に奪…

『天皇メッセージ』

深い闇を体験し、その中でもがき苦しんだものだけが、長い思索ののち、光のような言葉をつむぎ出すことができる。まさにこれまで、そういう人生を歩んでこられた方と矢部宏治氏が本書で評する明仁上皇。 皇太子時代と天皇時代の言の数々はそのときどきに報じ…

この半年間で印象深い3冊

miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com

ホーキング博士「神は存在しない。なぜなら・・・」

『ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう』NHK出版、2019年発行(原著は2018年)。昨年亡くなったホーキング博士、最後の書き下ろしです。 いずれもbigな10の?ですが、もしもbiggestを選ぶとすれば「1 神は存在するのか?」と言うことができるでし…

「ゴミ清掃員、ときどき芸人」

『ゴミ清掃員の日常』原作・構成/滝沢秀一 まんが/滝沢友紀 2019年5月発行 お笑い芸人を始めて今年で21年にしてゴミ清掃員を始めて今年で6年の滝沢秀一。「お笑いという幹より 枝葉のゴミ清掃員の方が太くなり 根を生やした」日常を漫画で描いた。漫画を描…

今朝「なつぞら」の「川村屋のインド人革命家」は

中村屋のボース↓です。 miyashinkun.hatenablog.com

村上春樹の最新エッセイ

村上春樹が彼の父について綴ったエッセイ「猫を棄てるー父親について語るときに僕の語ること」が月刊『文藝春秋』最新号に掲載されています。冒頭で「僕と父の間には」「楽しいこともあれば、それほど愉快ではないこともあった」。愉快ではなかったエピソー…

『オオカミの群れはなぜ真剣に遊ぶのか』

エリ・H・ラディンガー著(シドラ房子訳) 築地書館 2019年発行(原著は2017年)著者は、主に北米で20年間以上 野生オオカミを観察してきたドイツ人女性。原題は「die weisheit der wolfe」(オオカミの知恵)。表紙写真で黒毛皮が灰色毛皮の頭を咥えている…