行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

落合博満『戦士の休息』

打者として三冠王3回、監督としてリーグ優勝4回の著者。⚾️戦士の休息は映画です。少年時代から観てきた数々の作品を題材にした一冊。 ジェームズ・ボンドには「上背のある恰幅のいい男が適している」。「背中を少し丸めて銃を構えた時のシルエットが生える」…

映画監督ヤンヨンヒ著の2作

ノンフィクション『兄 かぞくのくに』(小学館、2012年刊の文庫化)と小説『朝鮮大学校物語』(角川書店、2018年刊)。映画監督である1964年生れの著者ヤンヨンヒは在日二世、父は総連幹部、小学校から朝鮮学校→朝鮮大学校で学ぶ、日常会話は日本語、3人の兄…

ノンフィクション作家 山崎朋子氏 訃報

mainichi.jp ↓代表作『サンダカン八番娼館』 miyashinkun.hatenablog.com ↓2001年に著された自伝 miyashinkun.hatenablog.com

これまた目からウロコもの

本書によると、日本に来たプロテスタント西洋人が奉行所の要求に応じてアッサリ絵踏した、と(裏付け史料がちゃんと示されている)。 聖像に対するプロテスタントのスタンスを思えば、ナルホドたしかに!だけど 考えてみたこともなかった。 miyashinkun.hate…

「潜伏キリシタン」 踏絵について

今年ビッグニュースの一つが 「潜伏キリシタン」関連遺産が世界文化遺産登録決定ですが江戸時代キリシタン弾圧の最たるものと知られているのは踏絵と言っていいと思います。「踏絵」という言葉が今日でも比喩的にしばしば使われるほどに。 先日、東京国立博…

フロイス『ヨーロッパ文化と日本文化』

16世紀戦国時代に何十年間も布教を行なった キリスト教ポルトガル人宣教師が、豊臣秀吉による禁教令が発布される前の時期に日本社会のあれこれを観察して著した。こんな具合に・・・「ヨーロッパ人は大きな目を美しいとしている。日本人はそれをおそろしいも…

山上たつひこ『大阪弁の犬』

表紙の犬の名は?と問うて 栃の嵐!と即答できる方とは 楽しく一晩中お酒が飲めると思います♪ナゼ象を? 「アフリカ象が好き!」と話がハズむことでしょう^^; 抱腹絶倒ギャグ漫画『がきデカ』で知られる(今や知られてない?)山上たつひこの、去年 刊行され…

手塚治虫『火の鳥』

ストーリーテリング!そしてイマジネーション!(歴史、宗教、科学等々 文理にわたる広い知識に裏打ちされての!) もちろん画力! 私なんぞが改めて言うまでもないが。 1950年代に著された 別巻収録作は別枠として過去は3世紀邪馬台国の時代(No.1黎明編)…

『寅さんとイエス』

米田彰男著、2012年発行、筑摩書房。映画「男はつらいよ」が大好きで、宗教に敬意を抱いている私はタイトルに惹かれて読んでみました。寅さんの台詞と聖書のイエスの言葉から著者が見出した共通性について考察する内容です。親鸞から遠藤周作までさまざまな…

小説の一人称

5年ほど前の日経新聞コラムで ある翻訳家が、 一人称の小説、日本語なら「おれ」や「あたし」で男女が分かるけど英語では「I」自体では区別できない 云々 のようなことを書いていました。なるほど確かに。 日本語では会話文の語尾「~だわ」「~だろ」‥‥でも…

『沈黙』 小説と映画化

江戸時代初期キリシタン禁制下の長崎を舞台にした遠藤周作の代表作。去年公開されたイタリア系スコラッシ監督による映画化は原作にきわめて「忠実」だが、大きな「違い」もあった。キリシタンへの拷問や虐殺シーンが映像にすると文章で読むよりはるかに残虐…

「かくれキリシタン」はクリスチャンか

表紙の絵を初めて見て、これが何かを言い当てられる人はまずいないだろう。これは聖画であり、人物は キリストに洗礼を授けたヨハネ。長崎県生月島の「かくれキリシタン」で伝えられてきた。ことほどさように 、「かくれキリシタン」の信仰はキリスト教とは…

重い言葉

気鋭のルポライター石井光太の最新刊2冊を読みました。『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』は2017年12月発行、『原爆 広島を復興させた人びと』は2018年7月発行。 直面したからこその、重い言葉。年上の少年たちにカッターで43回も刺されて殺害さ…

三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか』

講談社ブルーバックス、2018年刊。 ニュートン・アインシュタイン・ホーキングら大科学者たちが「神を信じ」ていた というのはほとんどが著者の推測です。もちろん、そう推測した根拠はキチンと示されていますが。 1944年生まれの著者は高名な物理学者にして…

「父と息子」という観点から

父と息子の確執は誰であれ多少の差はあれ古今東西変わらぬモノ。 孝明→明治→大正→昭和→今上→ 私なぞとはモチロン何から何まで共通しませんが、「父と息子」たることそのものだけは同じです。そしてたぶん、父に対するアンビバレントも。 本や報道をそういう…

村上春樹、ノーベル賞代わり文学賞候補を辞退

www.nikkei.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com miyashin…

『明治天皇』

公式記録『明治天皇紀』を軸に膨大な文献に基づく、大部の作。2001年刊行。 生まれた時から天皇たる(天皇になる→天皇である)人生。それは他の誰も絶対に経験できない。明治という時代ー封建体制からいわゆる近代化へ大激変ーに天皇であった その人生、、、…

校歌がとても文学的と思ったら

今回の甲子園大会に出場した創志学園高校(岡山県代表)の校歌、小川洋子の作詞なのですね。校歌の作詞作曲は「えっ、あの人が!?」ということもたまにありますが、彼女ほどのビッグネーム 珍しいかも。あ、彼女、岡山県出身ですね。 校歌の歌詞↓ www.soshi…

「順愛エッセイ」に講談社エッセイ賞

www.okinawatimes.co.jp エッセイ賞を受賞した、高橋順子『夫・車谷長吉』の感想文です↓ miyashinkun.hatenablog.com

芥川賞発表

headlines.yahoo.co.jp 高橋弘希氏 1度目のノミネート作↓ miyashinkun.hatenablog.com

ブレイディみかこ著『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』

「ふぞろいのカボチャたち」「天使を憐れむ歌」「あのブランコを押すのはあなた」「たどり着いたらいつもどしゃ降り」本書に収められている40ほどの文章各々に付された見出しのうちの4つです。それぞれ、TVドラマ、ブリティッシュロック、歌謡曲、Jポップの…

『100万回生きたねこ』と河合隼雄

『猫だましい』。2000年刊行作の文庫化です。 著者は、心理分析で広く知られる故河合隼雄氏。多面性を持つ生き物である(と氏はみる)猫が登場する古今東西たくさんの物語を手がかりにして、人間心理について考察します。といっても学術論文などではなく、…

『蜘蛛の糸』の著者を漢字で書け

という問題が 中一国語の期末試験で出たとき「芥」の字が分からず 先生が見間違えて◯を付けるのを期待して(セコいチュウ坊)、茶川龍之介と書いたものです。モチロンXでした。 (「龍」は書けた。龍虎という力士がいたので。私は小学校低学年から相撲オタ…

山崎朋子『サンダカンまで わたしの生きた道』

昭和7年(1932年)生れの著者が『サンダカン八番娼館』を出版した昭和40年代までの自伝です。朝日新聞社 2001年刊。 読んでいろんなことを考えさせられたが一つあげるなら、昭和20〜30年代の女性の「生きづらさ」。モチロン著者は犯罪被害者(強く憎むべき種…

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』

1995年11月に行われた対談。 両氏の持ち味が存分に発揮されています。←この言い方は「巨人」たちに向かって軽すぎるけどね。 話題は多岐にわたります。同じ年の1月に大震災、3月に地下鉄サリンが起こったことを意識しながら読むといっそう深い(この災害と事…

阿川弘之『雲の墓標』

1942年に東大を繰り上げ卒業し 海軍予備学生として入隊した著者の体験を踏まえた、日記仕立ての小説。1956年発行。(著者は阿川佐和子さんの父) 京大学徒吉野次郎は昭和18年(1943年)12月10日 広島の海兵団に入った。その当初は「戦局は日本に有利な状況で…

『文盲 アゴタ・クリストフ自伝』

『悪童日記』他の三部作で知られるアゴタ・クリストフの自伝『文盲』。 1935年ハンガリーに生まれ 「わたしは読む。病気のようなものだ。手当たりしだい、目にとまるものは何でも読」んでいた4歳のときから、略歴の そのときどきに彼女がどう思い、何を感じ…

『ベロニカは死ぬことにした』

自殺する時が ようやく!来た。彼女はベロニカ、24歳。ベッドサイド・テーブルから睡眠薬を四包み取り出した。五分後には、包みは全て空になっていた。、、、目を開けた時、死んでいなかった。精神科病院に入院していた。心臓が深刻なダメージを被っていて余…

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

全作読んでいるハルキ長編の一作。2013年刊。 タイトルの「色彩を持たない多崎つくる」には、「文字通りの意味」と「もう一つの含意」が。 「文字通りの意味」は8ページ目ですぐに明らかになる。(そして彼が関わるのは皆「文字通りの意味」での「色彩を持つ…

村上春樹『東京奇譚集』

目撃された 死んだはずの息子、夜中に動いている机の上の石、高層マンションの階段で夫が「消えた」、、、奇譚仕掛けの5編を収録。 人の心のヒダが深く静かに描かれている。(なお、性表現はほとんどなし。)2005年刊。 とりわけ『品川猿』。 結婚3年目の主…