行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

沢木耕太郎『流星ひとつ』

『テロルの決算』『敗れざる者たち』『一瞬の夏』。私より一世代上にあたる沢木耕太郎が20〜30代で書いたノンフィクションを 若いころ読んで、瑞々しさと「老成」に魅きつけられたものです。(後者はふつう褒め言葉ではないでしょうが、ココは褒め言葉で。)…

群像新人文学賞・崔 実『ジニのパズル』

1998年ミサイル発射実験が行われたとき朝鮮学校の中学生だった彼女は「政治」とド正面から「対峙」する、ある行動を起こす。著者自伝的なのであろう(たぶん)。 70年代に10歳代であった私は(浅い)正義感(浅い理解に基づく)から 政治に(浅い)関心を持…

この半年間でとりわけ印象深い本

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英国だからこその⁇国民投票

「スピーチを米国人はジョークから始める。XX人は〜から始める。日本人はお詫びから始める」(©︎故河合隼雄氏)みたいに国民性を風刺した小噺、世界中にイロイロあるよね。 そのうちの一つ、初モノに直面したとき「英国人は、家族全員でおごそかに投票で決定…

『評伝 ナンシー関』

横田増生著、朝日新聞出版、2012年発行。「評伝にするほどの人?」から「待ってました!」まで反応は別れるかもしれませんがワタシはダンゼン後者です。02年に早逝したナンシー関。消しゴム版画という秀逸なアイディア、出来もインパクト抜群。毒含みの切れ…

「日本史の謎を地形で解く」

本を読んで目からウロコが落ちるのはナゼかたいてい電車の中!?という私自身のナゾはさておき 最近の 目からウロコは、「日本史の謎は地形で解ける」シリーズ。(いい意味で)電車で読むのに適した、ほど良い「軽さ」。モチロン文庫本なので物的にも軽い。…

西村賢太の私小説

私が西村ブシを好むのは そこはかとないユーモアが漂う(と言うほど上品ではないけど)文章もさることながら何と言ってもオノレそのものを丸ごと書き込んでいるからです。それは多少なりとも大げさであろうロクデナシ振る舞いの描写のことに非ず品性の卑しさ…

なぎら健壱『日本フォーク私的大全』

元祖ゆるキャラ? テレビで微妙な存在感の なぎら健壱は元々はフォークシンガー(を知ってる私のトシが分かる^^;)。 60年代70年代 フォークに魅せられて自らもシンガーソングライターになった著者が、その時期のフォークシーンを概観する。バッチリ索引付き…

時節柄

こないな本を持ってます^^;

ドリアン助川『あん』

タイトルのあんは餡です。 著者はテレビで何度か見たことがあり、まっすぐ そうな人だなという印象を持っていました。書いたものを読んだのは初めてです。 とても「気」のいい作品でした。あるいは小説としての練度は高いとは言えないかもしれませんが、そな…

バルガス・リョサ『つつましい英雄』

海外小説は登場人物の名前だけで性別がワカラナイこと少なからずがちょいとツライ^^;(英語圏のはまだしも) マリオ・バルガス=リョサ『つつましい英雄』は南米文学テイスト満載と言えるであろう長編だがたとえばマルケス『百年の孤独』と比べると 幻想性は…

三田村蕗子『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?』

ねじり鉢巻き読書より箸休め的読書に適した一冊。お菓子をつまみながらホッとひと息のように♬菓子メーカーの海外展開がたくさん紹介されていますが拡販戦略の精緻な分析、というわけではありません(副題は「海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘…

朝と昼の蛍

近所に蛍の小さな生息池があります。今年もそろそろかなあ。闇夜に美しい光が乱舞!というほどの数はいませんけど。 たまたま読んだ斎藤茂吉の短歌に、朝の蛍を詠んだ一首と昼の蛍を詠んだ一首がありました。蛍について何か書くとしたら、ほとんどの人は(も…

漢字はムズカシイ

きょうは「妖怪」が出てこなかったがもっともっとカンタンなありふれた漢字が、手書きで字を書く機会が大幅に減ったために(であろう)ドンドン書けなくなっちゃってる。 漢字のアレコレと言えば、10代のとき小説がらみで・・・①国語のテストで「茶川龍之介…

彼らの歌と句

2015年刊行の左は浅間山荘事件犯、2012年刊行の右は三菱重工ビル爆破犯。二人とも死刑確定者です。 真正面からオノレと向き合わなければ絶対に詠み得ないであろう歌句を見出すことができます。少なからず。 言わずもがなですが、彼らの犯罪にいささかの擁護…

「大関は強い人 横綱は・・・」

強い人は大関になる。宿命のある人が横綱になる。と白鵬。 品格を疑わせるような最近の振る舞いにも何か真逆の含意があるのでは?と思わせられるほど 深い言。 歴代横綱21人にインタビューした本書↓を思い出しました。 武田葉月『横綱』講談社、2013年発行 …

漱石三部作を再読

漱石『それから』をン十年ぶりで読んで代助の父親がとっても気になった。 代助が父親を見るような目で父を見ていた初読のとき今や代助と同年代の息子がいて。 こないなコトも漱石文学の普遍性ゆえ?! というわけで、若いころ読んだ漱石三部作『三四郎』『そ…

おぢのつぶやき4

けさ出かける前、NHK朝ドラで女学生姉妹の妹が ある本を読み終えたとき「目の前の景色が変わった」と。 そういうこと若いころ何度もあったなあ(...("= =) トオイメ) 今や寄る年波 涙腺脆弱化により読みながら目の前がかすむコトしょっちゅうだけど(^^;) (彼女…

佐川光晴『大きくなる日』

涙腺を刺激するツボは人それぞれと思いますが9話中5話で決壊しました。電車の中で^^; 連作短編集。とっても感じのいい 表紙↑のような4人家族男の子の保育園卒園式から 「大きくな」ったとお母さんが実感した中学卒業式までの間、大事件が起きるわけではない…

佐藤航陽『未来に先回りする思考法ーテクノロジーがすべてを塗りかえる』

私が入社した80年代初めにはコピー機が部署ごと一台はなく、ファクス機は(私が知る限りの部署には)まだなかった。30余年後の今や それらをハイテクと思う人はいないだろう(テレックスとかも)。80年代後半からゼロ年代にかけて製作された映画『釣りバカ日…

カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』

イシグロ小説は全般に、静かな展開ながらも コクがあるのにキレがある(©むかしのビールCM)描写でどんどんページが進みますが 本作は一転して活劇調。コクキレはそのままに。 クリストファーは探偵。幼いころ「拉致された」両親を救出しなければならない。…

カズオ・イシグロ『浮世の画家』

高名な画家(だった)「小野益次」の1948年からの2年間と戦前期の回想。その時代、多くの画家が描いたような絵を彼も描いた。がために画家「だった」状況になっている。彼を指弾する小説ではない(もちろん、擁護もしない)。そうで「ある」彼の心の揺れのあ…

カズオ・イシグロ『日の名残り』

執事スティーブンスは1956年7月、英国内で6日間の「旅」に出る。その行程中の出来事と ダーリントン卿に仕えていた1920〜30年代の回想が交互に、、、スキもムダもない構成。 「その時代の英国人執事」として想像できそうな?話ではありません(いや超想像通…

カズオ・イシグロ『充たされざる者』

小説を読みながら「早く先を知りたい けど いつまでも終わらなければいいのに」と思うコトありませんか。本作もまさにそうでした。 一作ごとにテイストが異なるイシグロ世界。このヒトこそ(「だけ」に非ず)小説家が天職じゃないかと思う。走攻守三拍子揃い…

小説のクライマックス

私が印象深いのは たとえば 村上春樹『1Q84』の オーウェル『1984年』と真逆的なラスト。(タイトルを見るだけでも ハルキが『1984年』を意識して書いたのは明らかと思います。併せ読みをお薦めします♬) そして たとえばカズオ•イシグロ『充たされざる者』…

ドラッグストアの「匂い」とは@砂田麻美『一瞬の雲の切れ間に』

千恵子がいつも入る近所のドラッグストアには「商品の箱や洗剤がまじったような乾いた匂い」がする(本書5ページ)。 たしかに ドラッグストアってそんな「匂い」だよなあ。小説を読んでいると ハッとさせられる言葉や表現に出会うコトがしばしばあり、それ…

筒井康隆 最後の長編小説

筒井小説たらしめている(と思う)常用語の一つ「のけぞる」がちゃーんと出てきて 私なぞはそれだけでもウレシイ。 著者本人が謳っている通り「最後の長編小説」に相応しい、筒井康隆ワールド余すところなく。ハチャメチャ調(を残しなから)を昇華させた『…

ウナギイヌづくし

『天才バカボン』のこのキャラこそ 赤塚不二夫の「天才」を最も端的に表していると思う。 器は蕎麦猪口です。

天童荒太 私的初読み

その青年は「悼む人」。野宿をしながら全国を回って 誰であれ どんな死に方であれ 「悼む」、、、 2006年から2008年まで『オール讀物』に連載された小説です。 読みながら、 「イスラム国」に殺害された日本人の ジャーナリストの人ともう一人に対するメディ…

75年間のベストナイン

ワタシ 最近は野球をあんまり見ないのでオールドファンというコトになるかもしれませんが 歴代ベストナインを考察(または妄想)するのは 野球好きの大きな大きな楽しみと思います。 本書は、1936年のプロ野球創設から2010年までのベストナインを選出。なつ…

北條民雄(と川端康成)

北條民雄(1914-1937)著『いのちの初夜』は、著者自身と思しき主人公が ハンセン病患者を隔離する病院に入院した日の翌夜明けまでを描いた短編小説。その1930年代当時は医療水準上も社会通念上も「不治の病」であった。「何もかも奪われてしまって、唯一つ…

武田葉月『横綱』講談社、2013年発行

45代横綱の初代若乃花から70代の日馬富士まで、存命中の21人にインタビュー(「二人」を除いて)。白鵬と日馬以外は引退後。 読み応え最大級。(元)横綱たちが言った通りを聞き書きするスタイルにつき事実関係に?と感じるところがいくつかありましたが ソ…

ゲージツ家のクマさん

むかし、ビートたけし(北野武)の「たけしの誰でもピカソ」(テレビ東京)でレギュラー出演していたゲージツ家のクマさん。「オレは芸大にコンプレックスを持っているんだ!」と冗談9割本音1割のテイで言ったシーンをナゼか今だに覚えています。 期待以上の…

「◯金」「◯ビ」の80年代ベストセラー

本棚の整理。渡辺和博とタラコプロダクション『金魂巻』。80年代のベストセラー、◯金 ◯ビ が流行語にもなったコレ、どうしようかなあ。 わが修士論文『「戦後民主主義」とは何だったのか」の中で本書のことを書いていた↓ 「ビンボーの人」を揶揄する一方で …

薬嫌い病院嫌いで白寿

小説を読んでいると、知っている人にそっくりなキャラがたまに出てくる。この間は、痛いときには何でもかんでも「タイガーバーム」を塗るおばあさんが。スジガネ入りの病院嫌い薬嫌いだった亡き祖母(享年99)もそうでした。人の見舞いも含めて病院に足を踏…

ゲゲゲの人生哲学

水木しげる『人生をいじくり回してはいけない』日本図書センター、2010年 一見 いわゆる自己啓発本かのようなタイトルですが、「いわゆる自己啓発本」ではありません。言わずと知れた『ゲゲゲの鬼太郎』の漫画家である著者の 人生観を端的に表す文を引用しま…

極私的『走れメロス』

『走れメロス』は中学国語の教科書に載っていました(全文ではなかったかな)。高校に入って最初の夏休みに 私的太宰2作目の『人間失格』を読み、あまりにも「違う」ので?!?でした。 その数年後、野田秀樹率いる劇団 夢の遊眠社の初期作「走れメロス」で…

太宰治を

江國香織、角田光代、川上弘美、川上未映子、桐野夏生、松浦理英子、山田詠美、 奥泉光、佐伯一麦、高橋源一郎、中村文則、堀江敏幸、町田康、松浦寿輝 という錚々たる面々が一篇ずつ選んだ。 選んだ太宰作品に選者が ごく短い紹介文を沿えていて、レトリッ…

短編の名手

短編小説の名手を発見!(私的基準) 著者は 「ゆれる」「ディアドクター」で知られる映画監督。「永い言い訳」がこの秋公開予定。 長編『ゆれる』『永い言い訳』も読み応えがあったがとりわけ短編(写真)、前世紀のビールCM流に言えば コクがあるのにキレ…

「かぞくのくに」

ヤン・ヨンヒ『兄 かぞくのくに』小学館、2012年著者は1964年生まれの女性、いわゆる在日二世です。自身が監督した映画化と相乗効果大の私的☆4.5。 「私には、年の離れた三人の兄がいる。今、私は兄に会うことができない。兄は、日本の隣国ー北朝鮮にいる。…

映画化した監督自身による原作

映画化した監督自身が著した原作(『ゆれる』は映画が先)をいくつか読みました。『兄 かぞくのくに』は(著者から見た)実話。あと3冊は小説です。 3人とも気鋭の若手(と言うべきか?)監督。女性であるのも共通点です(男だから〜 女だから〜 というモノ…

寅さんに教わる⁇?

『「男はつらいよ」の幸福論 寅さんが僕らに教えてくれたこと』という新刊本の新聞広告が目に入った。「足を踏み外してもいいー私たちの背中を、寅さんは優しく押してくれます。」「今だからこそ日本人の心に染み入るメッセージ。」と。 読まずに評するのは…

名文ミステリー?!

以下、「ミステリー」をひじょうに広い意味で使います。 ミステリーについて私メが語れるとしたら エラリー・クイーンと折原一とスティーヴン・グリーンリーフと「刑事コロンボ」ノベライズを読み倒したコトがある(小学校図書室にあった 子ども向けのホーム…

戦闘機乗りから国語先生に へんしん

「仮面ライダー」は今も続くらしい超ロングランゆえ たまに耳に入るたび思い出すのは、、、「へんしん」を「変針」(と黒板に書きながら)だと思っていた と中一のとき松本先生が国語の授業中に。 先生はその理由も話したが そんときは意味が分からずそのま…

2014年ノーベル平和賞 マララさん

『わたしはマララー教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女ー』学研パブリッシング、2013年12月 パキスタン北部のスワート県で暮らす「わたしはマララ」タリバンの恐怖支配に抗して「教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた」。そして、、、(…

青空文庫に谷崎潤一郎登場

谷崎潤一郎ちょうど死後50年経ったので青空文庫公開 始まったようです↓http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1383.html#sakuhin_list_1 [ご参考] 著作権保護期間(著作権法51条)=生きている間+死後50年間(↑今後TPPで⁇?)※死亡した年の 翌年1月1…

人類最大!の権力闘争

峯村健司『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』小学館、2015年 13億人の民を統治する中国共産党の総書記(習氏)を頂点とした政治局常務委員(7人)→政治局員(25人)→中央委員(205人)→→党員(8600万人)のヒエラルキー。 モノ言いが「率…

ベラボウな「作戦」

古川薫『君死に給ふことなかれ』幻冬舎、2015年7月 終戦時二十歳だった深田隆平(≒著者)は 航空通信兵として特攻兵たちの近傍にいた。そのうち、ある「濃い縁」で結ばれたのにイニシャルしか知りえなかったM・Kは誰だったのか? 世紀をまたいで調べてみると…

年齢ズム⁇?

山崎ナオコーラ『ネンレイズム 開かれた食器棚』河出書房新社、2015年10月 私的初ナオコーラ。 表題作一編目の「ネンレイ」は年齢。「年齢愛好家」と称する女子高生が主人公。毎日「おばあさんっぽい」服装で登校する。「おばあさんっぽく」なりたくて。編み…

『ふたりー皇后美智子と石牟礼道子ー』

高山文彦『ふたりー皇后美智子と石牟礼道子ー』講談社、2015年9月 私たちがメディアを通して知る、今上天皇と美智子皇后の気高さ。水俣病患者に(も)心の底の底から寄り添われ2013年秋 水俣ご訪問の際、直接かけられたお言葉に患者たちは「恐ろしい公害病に…