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行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

後味とっても良し♪ 映画「世界の果ての通学路」

 

   これほど後味のよい映画は少ないと思う。2014年公開作。
   いわゆるヒット作鉄板と思しき三大要素、子ども・動物・グルメのうち子どもが主役で動物が脇を固めるから(ただしグルメは皆無)、ではない。  
   ケニア、モロッコ、アルゼンチン、インド。道なき道を何時間もかけて、時に命がけで通学する子どもたちを追うドキュメンタリーである。  
   発展途上国の、と一括りにしてはいけない。  
   ケニアの兄妹は象を最大警戒(アフリカ象には獰猛な一面)。アルゼンチンの兄妹は二人乗りで馬を駆ってアンデスを。インドでは、兄が乗る手作りの粗末な車椅子を二人の弟が押しながら湿地を進む。  
   モロッコの女の子仲良し三人組には異質の苦労もある。一人が足をケガしたのでヒッチハイクしようとするが、イスラム教の国で女子が学校に行く、からであろうか、(男性の)大人たちは冷淡きわまりない。  
   子どもたちは皆けなげでそしてかわいらしい。  
   ケニアとアルゼンチンの兄は働き者。登校前に家事や家業をひと仕事。弟妹思いの兄と兄思いの弟妹。足が不自由な兄を弟たちがリスペクトしながら当然のように助けるインドの三兄弟。頼りがいある兄のように、馬の手綱を自分で引きたくて仕方がないアルゼンチンの妹。いかにもしっかり者の顔をしている馬がまた印象的。  
   それに引き換え日本の子は、などと条件反射すべきでない。まずは子どもたちの姿に素直にクスッとしたりウルウルしたりすればよい。(彼我を比べて)政治経済文化等々に関わるいろいろな思いはきっと自然に湧き上がってくるから。  
    原題は『on the way to school』。邦題はテレビ番組のもじりなのだろうか。ネガティブな響きもある「世界の果て」は通学が嫌々の苦行であるかのようにミスリードしかねないのでは。どの子も意欲満々で、嬉々としていた。直訳『通学路』でも十分と思うが、たとえば『サバンナや山脈の「通学路」』はどうだろうか。