山田風太郎『戦中派不戦日記』
元旦「日本の存亡この一年にかかる。」「祖国のために生き、祖国のために死なんのみ。」
大晦日「日本は亡国として存在す。われもまたほとんど虚脱せる魂を抱きたるまま」「いまだすべてを信ぜず。」
東京の医大(≒軍医養成)学生だった著者が
1945年(昭和20年)ほぼ毎日、見たモノ聞いたモノ思ったコト考えたコトを克明に記した。
ほぼ毎日、の例外の一つが8月15日、、、記述はわずかに「帝国ツイニ敵ニ屈ス。」のみ。その日の事々は翌日になって連ねている。
連日の空襲警報、ときに遠くに火の手が見え、ときに頭上から爆撃。その多くは深夜早朝。
←人々はどんな気持ちでいたか。
そして、「その日」を境に
信じていた(または「信じて」いた)ことが木っ端微塵に壊れて。
←人々はどんな気持ちになったか。
70年後の私たちも想像力を大いに働かせねば。