高山文彦『ふたりー皇后美智子と石牟礼道子ー』講談社、2015年9月
私たちがメディアを通して知る、今上天皇と美智子皇后の気高さ。
水俣病患者に(も)心の底の底から寄り添われ
2013年秋 水俣ご訪問の際、直接かけられたお言葉に
患者たちは「恐ろしい公害病に罹って以来、はじめて心から救われたような気持ちに満たされた。」(本書序章。9ページにお言葉そのもの。)
表題の後者は『苦海浄土』で知られる(言うまでもなく)。
鶴見和子を偲ぶ会で初対面した「ふたりのミチコ」(第1章タイトル)以外にも
「自主交渉」代表格の川本輝夫、運動を中心的に担うとともに編集者として石牟礼の著作に協力してきた渡辺京二、顔が描かれぬ(そのワケは・・・)コケシ等々を通して
「水俣病史」が記されている。
「闘う皇后」(第5章タイトル)と併せて。本書で引用されている、国際児童図書評議会世界大会(1998年)での講演全文↓
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/ibby/koen-h10sk-newdelhi.html
対比的な、皇太子夫妻への厳しい筆致はいかがなものか。祖父が原因企業の社長であったことを強調してのそれは、個人を個人として尊重する現代人権原則に抵触する「三代にわたって汚点なし」(なる「妃の条件」)を肯定することになりかねないと思う(「天皇制と人権」をめぐるそもそも論は別論として)。
↑公人とは言えない人も含めて敬称を略しました。