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行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

「かぞくのくに」

映画

ヤン・ヨンヒ『兄 かぞくのくに』小学館、2012年
著者は1964年生まれの女性、いわゆる在日二世です。
自身が監督した映画化と相乗効果大の私的☆4.5。

「私には、年の離れた三人の兄がいる。
今、私は兄に会うことができない。
兄は、日本の隣国ー北朝鮮にいる。」
と書き出される (著者から見た)実話です。

彼女が幼いころ兄は三人とも「帰国事業」で「北」に渡った。十代で。
兄たちをピョンヤンに訪ねるたび痛切に思い知らされる、「北」の、「北」で暮らす「在日」出身者の、「苦労」。
兄妹と父母、家族それぞれの(あまりにも痛ましい)心の揺れが深く書き込まれた。
彼女は、兄たちに手放しで可愛がられた幼い日々の記憶がうつくしすぎるだけに、なおのこと心が揺れる、、、

映画を観たときは 末兄役の井浦新と妹役の安藤サクラが強く印象に残っていましたが
末兄は「自分を押し殺すことで、ようやく『自分』を存在させてきた」(252ページ)
末兄から工作員めいた「仕事」を持ちかけられた妹は「頭の中で大きなガラスのようなものが割れる音がした」(257ページ)
本当にその通りの(その通り以上の)表情でした。やはり素晴らしい好演だったんだなとあらためて。