私が西村ブシを好むのは
妙にリズミカルで、そこはかとないユーモアが漂う(と言うほど上品ではないけど)文章もさることながら
何と言っても
オノレそのものを丸ごと書き込んでいるからです。
それは
多少なりとも大げさであろうロクデナシ振る舞いの描写のことに非ず
品性の卑しさを隠すところ余すところ一切なく、ということが。
たいていの私小説(または私小説風)は
ただの露悪偽悪のタグイは問題外として
どんなにあからさまでも薄〜い皮一枚はオノレを伏せたり美化したり、ではないでしょうか(もし自分が私小説を書いたら とイメージしてみたら、、、)。
西村賢太は
ここまで自らの醜悪を書き抜くためにはオノレと真正面から向き合わなければならないハズで それが出来る彼が品性卑しかろう筈はないという逆説が成り立ちそうなほど。