彼女の 嬉しいときも悲しいときもまっすぐな目が印象深い。
1950年代前半、アイルランドの小さな町で家族と穏やかに暮らしていた若い娘エイリシュは一念発起してニューヨークに渡り、デパート店員として働き始める。当初はホームシックに襲われ悩み苦しむが、通い始めた大学の勉強にやりがいを見出したのと相まって仕事にも自信を深めていく。そして、地味だが人間味溢れる恋人ができ、、、
そんなとき故郷から大切な大切な身内の悲しい報せが届き、帰郷。たまたま親友の結婚式が近づいていて、しばらく滞在することに。
実は私、「報せ」のシーンで大決壊(寄る年波か涙腺脆弱化、、、いや本作は演技もストーリーも秀れていたゆえだが)。帰郷前のそのあと ある幸福感に包まれて、、、素晴らしい展開に正直この時点で鑑賞容量残がほぼゼロと言うかオナカ一杯になっちゃったと言うか^^;
そのせいかもしれないが、帰郷後 ニューヨークに戻るか否かの心の揺れがイマイチ描き足りないように感じた。老いた母を残す葛藤はよく分かったが、それと関連するもう一つの方が。上映時間は理想的な(と私はかねがね思う)二時間弱だったが、ここはもっと時間をかけて描き込んでもよかったのではないか。
50年代前半の米国におけるアイリッシュのネガティブな状況が示されていた。アイリッシュ(したがってカソリック)のケネディが大統領に就任したのが61年1月。「寄る年波」の私と言えども(リアルタイムではなく)歴史上の出来事だが、ソレはとてつもない出来事だったんだろうなあと改めて思った。