ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

珠玉のラスト☆平野啓一郎『マチネの終わりに』

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 なんとなく平野啓一郎は難解(文章も内容も)と思い込んでいたが、本作は さにあらず だった。新聞小説だからか やっぱり単なる思い込みだったか。

 ひとことで言うとしたら、恋愛小説。アラフォー同士の、クラシックギタリストの彼と、フランス通信社の記者である クロアチア人とのハーフの彼女との。
 すれ違い を軸に進む。『君の名は』(「真知子巻き」のほうね)ほか恋愛物の 定石と言えるだろう すれ違いは 携帯電話の普及で禁じ手になったとも言われるが、本作では携帯電話が有るがゆえに すれ違う。
 一般的な「未来は変えられるが 過去は変えられない」とは真逆の、序盤で彼が語る「未来は常に過去を変えている。変えられるとも言えるし 変わってしまうとも言える。過去はそれくらい繊細で感じやすいもの」が 全体を通しての(二人以外の登場人物にとっても)キーになっている。

 「マチネの終わりに」展開するラストがとてもとても美しい。
 読んでよかった!と心から思える一冊。今年4月発刊。

※今ヒット中『君の名は。』のすれ違い は意味が違うようですね。