本田靖春『誘拐』は 1963年の幼児誘拐殺人事件をめぐるノンフィクション。1977年発行(文藝春秋社)。すでに知られているので内容については割愛するとして
目を釘付けにさせられた箇所を。
翌日処刑を告げられたあと犯人が詠んだ短歌
明日の死を前にひたすら打ちつづく
鼓動を指に聴きつつ眠る
死刑制度の是非その他モロモロをいったん脇に置いて
極めて稀有な「その状況」でしか絶対に詠みえないという意味で。
死刑確定後378首を詠んだ、とのことですが
もう一つ。
おびただしき煙は吐けどわが過去は
焼きては呉れぬゴミ焼却炉