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行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

伊藤比呂美『ラニーニャ』

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著者は現代詩の世界で知られる詩人。本書では、1998年から2001年までに発表された小説3編が収められています。

表紙は、メキシコとの国境付近にあるアメリカ 道路標識のイメージ。ネットでちょいと調べてみたら 似た実物は確かにあるようだ(今現在もあるかは分からなかった)。
道路に飛び出して来る不法移民に注意するように!との標識で、収録作『スリー・りろ・ジャパニーズ』(「りろ」=リトル)に出てくる。西洋人から非西洋人は標識のイラスト「のように」見え、3人の日本人(=非西洋人)が「そう」見えた、がこの作のキーになっている。
「トランプ現象」の昨今、計らずもいみじくもタイムリーな作になり得ているとも思った。

前世紀末に米国に合法移民した著者は「(911)以前と以降とでは、アメリカは本当に変わりました。その変化は不可逆的で、以前あった大らかさや夢は(そんなもの、ほんとうはなかったかもしれないけど)、もうない」と2016年4月付の「あとがき」で書く。
すなわち、新大統領が「変えた」わけではない ということか。

・・・と書くといわゆる社会派作品に思われるかもしれませんが、さにあらず 気象用語たるタイトルの表題作他1編は私小説、『スリー〜』は私小説風 の趣です。