行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

須田セツ子著『私がしたことは殺人ですか?』

映画「終の信託」が材を取った 川崎協同病院事件。
重症喘息患者の死をめぐり
安楽死とは 尊厳死とは」の議論、「美人医ウンヌン」の興味本位な報道、で覚えておられる方も少なからず、と思います。
著者は
殺人罪の有罪判決を受けた(懲役1年6月 執行猶予3年 最高裁で2009年確定)
担当医です。

本書タイトルの問いかけは
自分の医療行為は刑法199条「人を殺した」に当たる筈がなく
仮に刑法の構成要件に該当せざるを得ないとしても 自分は殺していない
を含意します。
後者は
裁判上の「真実」イコール真実か、という数多論じられてきたテーマとも言えましょう。

その上で著者は 終末期医療についての持論を展開。死は厳かなものであるのだから ガイドラインや法律でガチガチにスキームを固めるよりもむしろ 寄り添っている家族と担当医と本人の「阿吽の呼吸」の方が相応しいのでは、と。
(チームで合議するとどうしても「延命」の結論になってしまうので)担当医一人だけの判断であるべき、との考えには小さからぬ疑問がありますが。

私は成人してから軽度とは言え喘息で苦しんだ時期があり
同年代のみなさま同様に身内を看取ったり、あるいは例の「同意書」に何度か署名した経験もあり
いろいろなことを考えさせられた一冊です。
青志社、2010年発行。

 

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