行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

主語は「わたしたち」

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ジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』。2016年発行(原著は2011年)。

米国に移民した男性の元へ「見合い写真」だけを頼りに日本から嫁いで行った20世紀初頭から 1941年12月「真珠湾攻撃」後までの、「わたしたち」の苦難の日々が綴られた中編小説です。
真珠湾攻撃」とまで書けば ラストは「日系人強制収容」と書いてもいわゆるネタバレにはなりますまい。そもそも本作はネタバレ云々とは次元が異なる作品と言えます。
一人一人は個性を持った別個の人間であるのを示す出来事を数多並べながら、あたかも無個性の「塊」かのように「日系人」女性として歴史に政治に社会にそして戦争に翻弄されたことを表すのに、全編を通しての主語「わたしたち」が効いています。

彼女たちが何に直面し、何を思ったかは、実際の体験談に基づいている とのこと(巻末「謝辞」「訳者あとがき」)。

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