行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

松沢哲郎『想像するちから チンパンジーが教えてくれた人間の心』

おもしろすぎてワクワクしながら200ページ一気に読み切った。しかつめらしい四字熟語を使うなら、知的興奮、を覚えまくった。岩波書店、2011年発行。
著者は、チンパンジーのアイとアユムの研究で知られる。

全遺伝情報の98・8%が人間と一致するヒト科チンパンジー属(動物分類学上のチンパンジー。人間はヒト科ヒト属)の
西アフリカのフィールドと京大霊長類研究所(アイとアユム)での長年の研究・観察に基づいて
チンパンジーと人間の異同を「社会性」「親子関係」「ことば」等々多面的多角的に考察。
その目的は、人間とは何か、を知ることである。

まず
チンパンジーの「能力」を示すたくさんの事例がとても興味深い。
一つだけ紹介すると
緑インクで書かれた「赤」という漢字、赤インクの漢字「黄」、黄インクの漢字「青」・・・その漢字が何色のインクで書かれているかを
次々と答えるのは我々にとって意外と難しいが、「ことばを覚えた」アイにとっても難しかった、、、

そして
人間とは何か、のいくつかの仮説はエキサイティングでもあり所々?でもあったが
人間と他の動物を比較して~の比較認知科学としての説であり
そこはそれ
人間とは~を探究することは
哲学(「考える葦である」とかね)ばかりでなくあらゆる学問(芸術も宗教も、あるイミ仕事だって)の究極の目的(の一つ)であろうので。

文章はきわめて平易。それでいて研究・観察の手法をきちんと示し、ロジカルに論述している。

「茂みから一人、先頭のチンパンジー男性が姿を現した」(本書73ページ)
著者が一人二人と数え、男性女性と書くのは
メルヘン調ものがたりの擬人化とは、似て非なるモノ。