フランス・ドウ・ヴァール『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』紀伊国屋書店、2017年(原著は2016年)
著者は、『道徳性の起源 ボノボが教えてくれること』等でも知られる動物行動学者。氏の、現時点(正確には昨年時点)での集大成と言えるだろう一冊です。
表紙↑はニシコクマルガラス。カラスは、ひじょうに広い範囲のあちこちに食べ物を隠して貯蔵する。それは、物は視界から消えたあとも存在し続けることを「理解」していることにもなる。
ねじ蓋式の瓶に閉じ込められたタコは 蓋をあっさり回して外して逃げ出す「知能」を有する。(オツムが残念な振る舞いを「このタコ!」と言うのは、タコに失礼かもね。)
状況反射的にすぎない反応ではなく 状況に対してどうすべきかを「考えて」の対応としか解釈できない、類人猿(チンパンジーやボノボ)、サル、ゾウ、イルカ、オウム、蜂等々動物たちのさまざまな行動。たくさんの観察結果や研究結果を紹介し、考察を深めていく350余ページ。とてもとても読み応えがありました。
↓上野動物園 ゴリラの行動も!?