行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』

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1995年11月に行われた対談。
両氏の持ち味が存分に発揮されています。←この言い方は「巨人」たちに向かって軽すぎるけどね。 話題は多岐にわたります。同じ年の1月に大震災、3月に地下鉄サリンが起こったことを意識しながら読むといっそう深い(この災害と事件そのものについても少し語り合っています)。
そして
二人ならではの視点で指摘する95年当時の社会病理、それが21世紀の今はもっと深刻化しているのではないか とも考えさせられます。

ハルキの方から「会いにい」っただけあって、どちらかと言えば河合氏の土俵(心理療法)で対話が進みます。
その中でハルキは文学論と自らの創作姿勢を とってもストレートに語っています。暴力と性をナゼ描くのか、も含めて。
対談時期が『ねじまき鳥クロニクル』と『アンダーグラウンド』『海辺のカフカ』との間であるのを意識すると これまた深い。

引用したい所 たーくさんありますが、一つだけ↓
ハルキ「小説の本当の意味とメリットは」「その対応力の遅さと、情報量の少なさと、手工業的しんどさ」。
河合氏、それは「心理療法のメリットそのもの」と共感した上で、現代社会は「できるだけ、早い対応、多い情報の獲得、大量生産を目ざして」いて「この傾向が人間のたましいに傷をつけ」ている。