「ふぞろいのカボチャたち」「天使を憐れむ歌」「あのブランコを押すのはあなた」「たどり着いたらいつもどしゃ降り」
本書に収められている40ほどの文章各々に付された見出しのうちの4つです。それぞれ、TVドラマ、ブリティッシュロック、歌謡曲、Jポップのタイトルのもじりですね。何のもじりかを全て分かる方とは一晩中おいしくお酒が飲めると思います。
『〜の階級闘争』、まるでひと昔前の教条的左翼のガチガチのアジテーションを想像させるかのようなタイトルとは裏腹。遊び心↑からわかるように ユーモアに富むしなやかな文章、内容も難解なことなど全くありません。
著者は英国人と結婚してかの地に住む女性。保育士を務めています。
「英国は階級社会」とは私たちもしばしば耳にしますが、彼女が勤めるのはその最下層の地区に在る託児所。そこでの、2008年から2010年までと2015年から2016年までに彼女が直面した様々な出来事そして感じたこと考えたことが綴られています。2010年から2015年までの間には、公的助成の大幅削減や移民の一層増加といった事象も加わりました。いきおい、彼女は政治について心の底から腹の底から考えないわけにはいかなくなり・・・
みすず書房 2017年発行
お薦めと特お薦めに分けるとしたら、ダンゼン後者です。