ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

アカデミー賞作品賞「グリーンブック」を観て

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    1962年、ニューヨークのカーネギーホール二階で豪華な部屋(「城」)に住む天才ピアニストの黒人シャーリーが米国南部で演奏ツアーを行なう。運転手兼ボディガードに雇われたのがイタリア系の無学で粗野なトニー。何から何までかけ離れた二人だが次第に心が通い合っていくロードムービーとの構図はありがちではあるが、起伏に富んだストーリー展開となにより二人(+トニー妻のドロレス)の好演によって、これほど後味の良い映画は観た覚えがない。


    黒人差別が峻烈だった南部。レストランでホテルでトイレで「黒人お断り」「有色人種用」に直面する(タイトルの「グリーンブック」とは黒人専用ホテルのガイドブックのこと)。黒人へのあからさまな偏見に凝り固まっていたトニーだったが、シャーリーのピアノを初めて聴いて魅了された。もともと曲がったことが大嫌いなタチで、道中シャーリーを襲う理不尽を何度も「解決」する。


     上流階級の音楽シーンに属していても白人でないことに変わりはなく、「城の主」であるシャーリーは黒人の間でも孤高であった。一方、米国社会の「主流」とされたアングロサクソンではないという立ち位置のトニーにはイタリア人ならではの譲れぬアイデンティティがある。妻を初めとして家族・血縁を深く愛し、旨いものを食べるのが好きでたまらない(どんな男かがよくわかる、食べっぷりのよさ!)。


     そんなトニーだからこそ、「黒人でありながら」名ピアニストたらんとする姿勢を苦悩しながらも絶対に崩さないシャーリーを徐々にリスペクトするようになる。シャーリーのトニー観もまた同様。ニューヨークへの雪降る帰り道、シャーリーを守り抜いて精も根も尽き果てたトニーを家族が待つクリスマスイブに間に合わせようと運転を代わる。信頼し合う仲になった。トニーの偏見とシャーリーの孤高もすっかり変化していた。


     そしてドロレスはなんと美しい心の持ち主よ。私を含めて観た人の涙腺が決壊したラストシーンのシャーリーへのひとことは、「この人こそ」と確信したからに違いない。

 

    ↓米国社会の「主流」はWASP(W白人、ASアングロサクソン、Pプロテスタント)とされていた。その「主流」から外れるアイルランド移民のアゲインストだった状況が描かれていた。

miyashinkun.hatenablog.com今も変わらぬ南部の「保守性」↓
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