ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

憲法学の泰斗の知られざる新見解?

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芦部憲法として知られる憲法教科書定番の第7版が先月出版されました。補訂者の高橋和之教授が「はしがき」で「実は芦部先生が最晩年に九条解釈の変更を考えられていたかもしれないことを知った」と記しています。
1999年に亡くなった芦部信喜教授の見解は、9条2項で戦力の保持が一切禁じられ 「現在の自衛隊は、」その「『戦力』に該当すると言わざるをえない」(『憲法』61ページ)というものでした(大多数の憲法学者もそうであったように)。
高橋氏が「知った」のは『法律時報』誌2018年6月号、氏を含む学者6人による座談会「戦後憲法学の70年を語る」席上。高見勝利教授が紹介した、芦部氏の講演発言です。講演は1995年10月に長野県伊那で一般向けとして行われました。
その中で芦部氏は次のように述べたとのことです(同誌72ページ)。

従来考えてきた通り9条は為政者を法的に拘束する規範だとすると、9条を改正するか自衛隊解消の方向で考えるかしか規範と現実との矛盾を解くことは出来ない。そこで、9条を規範ではなく「政治的マニュフェスト」と考える説を検討しなければならないのではないか。戦争放棄と非武装を謳った9条を改正せず残すために。

しかし、講演より後の『憲法』改版では芦部氏は従来の見解をいささかも変更していないので高橋氏は「はしがき」に記すに留めた、とのことです。

 

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