ミシェル・ウエルベックの小説『服従』 河出文庫2017年刊(原著は2015年)
自由が封じられた社会、そのラストで主人公は・・・。オーウェル『1984年』では「服従」し、村上春樹『1Q84』では「服従」しなかった。202X年の本作で一人称の主人公である40代男性教授は・・・
(村上春樹の名が出たので・・・村上春樹の性描写そのものに嫌悪感を覚えている方にはお薦めしません、と言うべき箇所が本作には随所にあります。)
2022年のフランス大統領選挙。第一回投票で既成政党を尻目に極右政党・国民戦線党首ルペンとイスラム政党党首が一位二位を占め、決選投票へ。勝ったのはどちらか? 新政権発足後、まず町なかで表れた変化は女性の見た目だった。
本作が近未来を「予言」した設定の背景にはもちろん、現実のアフリカや中東からの移民増とそれへのカウンターたる排外主義の台頭がある。
ルペンのほか前大統領オランドら現実の政治家や言論人・文化人たちが実名で登場。
と言っても、政治記者が書く予測記事のような内容ではない。政治を題材として、人間にとって宗教とは? (↑冒頭で「自由が〜」と記したが)西欧型自由が唯一絶対なのか? 国家と個人、西欧と非西欧、といったことを読者は問いかけられる。
(極めて個人的な難点が。装丁のようなボツボツが苦手でして。イヤーな感じでムズムズしちゃう。)
民主主義の根幹たる選挙の「盲点」として相通じる?4割の固い支持があれば↓