著者が 倉本聰氏の富良野塾二期生であることは報じられていますが、そうでなくても本作の舞台が富良野塾であるのは読み始めてスグわかります。「ぼく」が入塾してからの一年間が描かれました。「【先生】」と記された倉本氏に対するアンビバレントな感情が見え隠れしている、かな。
もっとも、私小説であることを「否定」するかのような言い回しが作中にありますが。
私小説(または私小説風)としての私的好みは、オノレそのものを洗いざらいブチまける(内容も書きようも)、例えば西村賢太です。その意味では、本作はあんまり、、、でした。
作中、「北の国から」の純 口調の独白がありました。著者の秀逸なウイットと思います(たぶん)♪
『新潮』2016年7月号