ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

『象にささやく男』

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 おもしろかった!
 最近読んだ本(あらゆるジャンルを通して)の中で最高の読み応えでした。

 南アフリカで私財を投じて野生動物保護区を運営する著者ローレンスアンソニーはバランス感覚が秀でた人物。動物さんカワイイカワイイの愛玩系とも 捕鯨船体当たり的過激派とも真逆です。保護区内外での様々な出来事が綴られ、それは葛藤と試行錯誤の連続でもありました。

 表紙写真は群れのリーダーとその子。保護区に運ばれてきたとき獰猛化していた群れがこのように穏やかな様子になったのは著者が月日を費やして「心を通わせた」ゆえです。

 著者は「心を〜」が野生動物にとって「正しい」とは決して考えていません。しかし、5トンクラスが体当たりすればどんなモノもひとたまりも無いゾウが獰猛化すれば危険きわまりない(主に人間にとって。そしてこの群れを獰猛化させた原因も人間)ので殺処分が不可避となります。

 いくつもある本書ヤマ場の最大が終盤、著者は群れの一頭を・・・「決断」して「実行」します。しかし、その「決断」は間違っていました。

 他の動物たち、サイ、スイギュウ、サル、ヒョウ、レイヨウ(鹿)、ワニ、ヘビ、、、の行動も活き活きと描かれています。

 400ページ余にわたるアレコレはもちろん「著者から見た事実」です。動物学の定説からは?もあるかもしれませんし、保護区周囲で暮らす先住民との共存共栄も目指すという著者の取組みの妥当性ウンヌンもあることでしょう。どう読み どう受け取るかは、それこそバランス感覚だと思います。

 築地書館、2014年発行(原著は2009年)。著者は2012年に心臓発作で死去した由。

 絶賛しましたけど、私が動物大好き!なのを割り引いてくださいね^^;