「帰還困難区域」「居住制限区域」の畜産家たち(と牛たち=中表紙↑もその一頭)の2011年311から2014年までを追ったルポルタージュ。
苦難 という言葉では軽すぎる日々。
読みながら・・・
「それでも原発推進」の向きがしばしば発する「あの事故で直接死んだ人はいない」を見聞きするたびにいつも私は気持ちがザラザラするのですが(私だけではないでしょう)
たしかに「直接死んだ人はいない」、彼ら畜産家に直接 それを言えるか!とも思いました。
本書の柱、「肉用牛としての価値」を失った牛が生きていく意味と生かしつづける理由を模索する「牛飼い」たちの姿は、実に気高く。「区域内の牛はいずれ屠殺される運命だったのだから殺処分されても同じ」(「あの事故で〜」とどこか似ている気がします) とは真逆の。
その模索は、農地保全として 研究用として、実を結びつつある と。