昨日のEテレ「日曜美術館」で紹介された、日本画家・小早川秋聲の「國之楯」を観ました。
「國之楯」は1944年の作。陸軍の依頼によって描かれたにもかかわらず完成した本作の受け取りを陸軍は拒否したとのこと。昨日の放送では、見た感じが厭戦的だからだろうと拒否理由を推測していました。
従軍画家としての「戦争画」であるという外形的事実や内心の制作意図に関する専門家の解釈をひとまず頭の中から切り離して、
きょう正面から間近で観た本作そのものから「訴えるもの」が強烈に感じられました(テレビや画像で見るよりはるかに)。その「訴えるもの」と陸軍が受け取り拒否した理由は重なるのだろうと思います。
そもそもは兵士なきがらの頭部の上の光の輪とボディに舞い散る桜花びらも描かれていましたが、小早川自身が戦後塗りつぶしたとのこと。きょう観て、その痕跡も分かりました。「光の輪と桜花びら」の「戦争画」としてのイメージ、それが戦後はどう受け取られるか。時代の変化と作者の思いといったことも考えさせられました。
本作以外にも20点ほどの作品が展示されている小早川秋聲回顧展は、東京の画廊「加島美術」で9月16日まで。入場無料。
「戦争画」と言えば、ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの佳作↓