パンダと言えばこの↑ワッペンやミニュチュアのように可愛らしい顔や仕草が前面に押し出される。しかし当然ながら野生では可愛らしさだけで生きていけるはずがないことを、表紙↑のように木下晋氏が描き表した。「鉛筆画の鬼才」と言われる木下氏、よくぞ鉛筆で!と思わせる絵が並んでいる。
もうすぐ生まれる赤ちゃんのために母パンダが笹で寝床を作るシーンから始まるストーリー。文章は中国出身の唐亜明氏、2017年発行(中国語版2015年発行)。
800万年前から生息しているとされるパンダ。氷河期も生き残った。木下氏は自伝↓で「生態を取材していくと、パンダの方が人類より遥かに生きる事への執念が強いと分かった」「パンダは人間が失ってしまった宇宙、自然の回路を持っていて、人間よりすぐれていると感じた」と語っている。「パンダは日本で『かわいい、かわいい』だけの存在だが、パンダの存在する意味はそれだけではないことを、絵本では表現したつもりである」。まさに表現し尽くされた。
「かわいい、かわいい」派の私↓ですが、「だけ」ではないつもりです。野生での本態に思いを馳せることを忘れてはならないと私なりに弁えています。