西村賢太『一私小説書きの日乗』は2011年3月7日から2012年5月27日までの日記です。文藝春秋 2013年発行。
この期間の日記や私小説を書くなら100人の作家のうち99人は311東日本大震災に直面しての心の揺れを書き込むでしょう。私自身もそれを読みたいし、実際いくつか読みました。
ところがこの日記、地震にはほとんど触れることなく例によっての西村節が綴られ
大震災の12日後に「(原稿の締切が迫って)焦りのマイクロシーベルトはハネ上がっている」とイエローカードものの軽口をたたいたり。
ワタシはこの人の私小説を全冊 読んでいます。
と言うとコチラの人格が疑われかねないほど、まあ「不健全」なヒトと言えましょうが
こういう人が存在する社会はかえって「健全」ではないかな。
99人がそうだとちとマズイけどね。