2011年と2015年に長崎で行われた立花隆氏の講演録に加えて、現長崎市長や 立花氏と仕事を共にしたメディア人らの氏にまつわる回想等が収められています。
1940年に生まれた氏は2歳まで長崎市内に在住しました。原爆が投下されたのは、その3年後です。大学生のとき原水爆禁止運動に参加。20歳だった1960年には英国で開かれた国際青年核軍縮会議に出席し、被爆をテーマにした映画や写真を見せながらヨーロッパ数か国を回った、と語っています。
氏の「原点」は「核兵器反対」だったのです。
件の講演から一か所だけ引用します。周知の通り「頭の中がお花畑」などでは全くない、氏の言として。「誤解を恐れずにいえば、日本が唯一の被爆国であるということは国際的に大きな政治的パワーをもたらしました。核に関して日本の発言が無視されることはありません。他のどの国も、被爆体験を背景に語れないわけですから。その政治的パワーを捨ててまで、日本が核武装することに意味はありません」(本書69ページ)。
『立花隆 長崎を語る』長崎文献社 2021年9月発行
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