里枝が結婚した「谷口大祐」は谷口大祐ではなかった。
その「ある男」は、「ある男」になった谷口大祐と戸籍を交換。二人とも、とてつもない生きづらさを抱えていたゆえであった。
里枝の依頼で調査を進める弁護士。彼自身もまた、生きづらさゆえに選んだのかもしれない「他人として生きてきた」のでは?と次第に葛藤を深めていく。
そして、意味深ラストの彼に至る。
人は誰でも多かれ少なかれ「ある男」「ある女」なのでは? は原作者平野啓一郎が小説で追求しているテーマにも関わります。
最初のシーンで、里枝に扮する安藤サクラの演力にいきなり引き込まれました。セリフなし、表情と動作だけのそれは見事に心の裡を表していて。他のキャストも、主演の弁護士役妻夫木聡を初めとして演技派揃い。戸籍交換を仲介した柄本明扮する詐欺師が効いていました。
細かい所ですが、気になった点を二つ。「未亡人」という女性にしか使われない問題ありワードを他ならぬ人権派弁護士が口にするはずはないのでは? 2歳にして「動物園が大好きだった」はちょっと無理があるかなと思います。
↓↓余人をもって代え難い安藤サクラ
miyashinkun.hatenablog.com
miyashinkun.hatenablog.com