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行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

「青天の霹靂」

映画

劇団ひとり!☆2014年公開

   劇団ひとりが自らの小説を監督・共同脚本・助演。泣けて笑えた。心地よく。  
   39歳の晴夫(大泉洋)は場末のマジシャン。行方知れずの父・正太郎(劇団ひとり)から「俺が女を作ったので母は一人で出て行った」と聞かされていた。ダメ人生は「父はロクデナシで、母は自分を棄てた」からでなければならなかった。  
   ある日、正太郎の死を知らされる。ホームレスとして正太郎が暮らしていた河原で突然の雷に打たれ、1973年にタイムスリップ。

 演芸場支配人(風間杜夫)にスプーン曲げをして見せ(ユリゲラーの出現は74年)、専属芸人としてステージに立つようになる。たまたま母・悦子(柴崎コウ)を、そして晴夫を身籠った悦子に代わり正太郎をアシスタントとして。客に大受けしてゆく。が、正太郎のロクデナシとしか思えぬ言動を見せつけられる。  
   出産には自らの命の危険が大きいことが分かったが、悦子の生む決意は固い。正太郎は晴夫に「生まれた子に、お母さんはお前と引き換えに死んだ、なんて言えるかよ。そんなのあんまりだろ」と言う。ただのロクデナシではなかったのだ。  
   出産を間近に控えた病室で「未来が見える」晴夫に悦子は、この子の未来は?、と聞く。晴夫は(経験した通りに)、子が初めて貰ったバレンタインデーチョコを正太郎が食べてしまう、と。分娩室に運ばれながら悦子は正太郎に「チョコ食べないでね」。意味がわからないながらも真摯にうなずく正太郎。だが何年後かの現実は悦子の「遺言」をあっさり反故に、の正太郎らしい体たらく。ウルウルさせながらもクスッと笑わせる、巧みなつくり。  
   この流れのままでは終わらない。再び雷が直撃。現在に戻ると、実は生きていた正太郎が目の前に。いかにも…の風体。やはりただのロクデナシだったのか。眠っていて夢を見ていただけか?ラストのこの仕掛けにも、やられた。

 シャレの効いた小ネタも散りばめ、劇団ひとり、ただ者ではない。タイトルの妙も。