もう一度読みたい又は読まねばと思っても実際にそうすることはまずないですが、この小説は再読せずにはおれなかった。
四元康祐『偽詩人の世にも奇妙な栄光』 2015年発行。
13歳のときから詩の世界に魅了され古今東西の作を読みまくり味わいつくしてきたのに どうしても自作は「できなかった」吉本昭洋。総合商社マンになっていた35歳のある日、とうとう突然に「書けた」。だが、それは「偽物」だった、、、
詩における言葉とは何か。ひいては 人間社会における言葉とは何か。その「答」に最後「到達」。
語り口良し。全体にわたってユーモアも。ありがちな「さしずめインテリ」(©寅さん)的ムダな難しさ無し。
昭洋をはじめ登場人物たちのキャラも立っていて。「お喋り」だった母親がとりわけ効いている。
後半、一昨年の「奇跡の作曲家」「Sナントカ細胞」騒動から着想を得たかとも思えるようなストーリーテリング♬
詩人としては名が高い著者の 小説としてはデビュー作(と思う)。ナゼ世の中で評判になってないのかなあ⁇?
詩がお好きな方は詩論としても楽しめると思います。