ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

映画監督ヤンヨンヒ著の2作

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ノンフィクション『兄 かぞくのくに』(小学館、2012年刊の文庫化)と小説『朝鮮大学校物語』(角川書店、2018年刊)。
映画監督である1964年生れの著者ヤンヨンヒは在日二世、父は総連幹部、小学校から朝鮮学校朝鮮大学校で学ぶ、日常会話は日本語、3人の兄は「帰国事業」で北朝鮮へ、、、体験に根ざした心象を分かってもらわずにはおれない!という強い意思が、とても映像的と言えるであろう文章からヒシヒシと伝わりました。
例えばとして、両作から一つずつだけ引用します。

・頭の中で大きなガラスのようなものが割れる音がした(『兄 かぞくのくに』296ページ)。
日本に一時滞在していた末兄から工作員めいた「仕事」を持ちかけられたとき。なお、著者が監督した映画「かぞくのくに」では今をときめく安藤サクラが演じていましたが、まさにこの一文通りの表情でした(これ以上は絶対に出来得ないであろうほどに)。

・温かい心地良さの中にある小さな居心地の悪さのような感覚。柔らかいカシミヤに包まれながら、編み目の中にある棘で刺されるようだ(『朝鮮大学校物語』101ページ)。
大学生のとき日本人であるボーイフレンド裕の行きつけの喫茶店で常連客から「俺たちは国籍とかこだわらないさ」「ナニジンだろうが気にしないし」と言われたとき。後日その時の気持ちを「上から言われているように聞こえるっていうか・・・」「もし私が、裕が日本人でも気にしないよ、って言ったらどう思う?」と裕に。