ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

映画「運び屋」を観て

wwws.warnerbros.co.jp メディア情報によって私たち観客はあらかじめ、90歳の老人が麻薬の運び屋になるというインパクトの大きい話と知っている。しかも88歳の名優クリント・イーストウッドが演じる、と来ればどれほどドラマチックだろうと期待する。
 家庭を省みず働きづめに働いてきたがネット販売の隆盛に負けて破産、ITに敵愾心を燃やし、素朴な人種偏見を持ち、メキシコ人に使われて「運搬」の仕事を始めた当初は荷が麻薬であることを知らない、、、といった人物造形が示されるほどにストーリーがどう転がっていくのかとワクワクさせられる序盤。

 ところがしかし、これほどの材料が揃っていながらにして?!と思えるほどの地味なつくりだった。派手な大捕物劇はなく、違法行為に関与する葛藤が前面に押し出されるわけでもなく。

 私が思うにその狙いは、、、
 走行中のクリント車を同じ位置の上空から映して「運搬」を何度も淡々と繰り返している(もちろん多少なりとも波乱はあるが)ことを表す等々によって、現実は決してドラマチックではないというメッセージではないかと。劇中一つ一つのエピソードはフィクションであれ現代社会の「真実」を見せえたと思う。家族の間柄のドラマチックならざる「真実」も。
 だから、とても見応えがあった。

 非白人がレストランに入ると客の白人たちから険しい視線を浴びた上に白人警官から職質を受ける、といった前世紀に読んだルポ↓のような光景が今も(正確には2017年時点で)在ることも見せてもらえた。非白人が警官から職質のため車を止められたら命の危険が高い、というセリフもあり。 

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