行政書士ミヤシンの800字映画評

映画の感想を原稿用紙1〜2枚分でコンパクトに。ときどき書評。たまに・・・。

高木智子『隔離の記憶 ハンセン病といのちと希望と』

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ハンセン病ゆえに強制隔離されてきた人たちを巡るルポルタージュ。著者は朝日新聞記者。2015年発行。
読みながら何度も涙が出ました。病気に罹った人たちの気高さばかりでなく、
支援や交流を行う人たちのまごころと志に。「いのちの授業」を続けてハンセン病について生徒と共に学ぶ中学教諭や中国の「隔離村」に移住した青年等々の具体的な活動もさることながら、「らい予防法」が廃止されてその人権蹂躙が広く知れ渡り始めるよりはるかに前の時期に「施設」から社会に出てしばらくしてから病歴を告白した男性に「そうか、たいへんだったなあ」「それがどうしたの」と全く抵抗感なく受け入れた上司や婚約者に。

「施設」で暮らす詩人・塔和子さんと交流していた女子高生がいました。彼女の父親はそれを快くは思っていなかった。塔さんが詩集出版を望んでいることを知った彼女は 印刷会社を経営している父親に塔さんの詩を見せたところ、彼は「この詩は、ただもんじゃないぞ」と感動。出版が実現しました。これも「らい予防法」廃止のはるか以前です。

(もちろん本書では、彼ら彼女らが受けてきた差別や迫害も記されています。)

そして、これまた素晴らしいのが 表紙折り返しの著者略歴に写っている高木記者の顔です。「美人」という尺度で言っているのではありません。まっすぐな心を持ち、まっすぐに生きてきたことが表れていると感じました。めったに見ることがないほどに。