公式記録『明治天皇紀』を軸に膨大な文献に基づく、大部の作。2001年刊行。
生まれた時から天皇たる(天皇になる→天皇である)人生。それは他の誰も絶対に経験できない。明治という時代ー封建体制からいわゆる近代化へ大激変ーに天皇であった その人生、、、「天皇は自分に対して厳しい人間で、めったに好き嫌いを見せることがなかった。暑さ、寒さ、疲労、空腹など普通の人間を悩ます類のことで天皇が不平を洩らしたことなど絶えてなかった。天皇は、ほとんど不自然なまでに何事に対しても平然としていた。」
明治天皇の人物評伝だけの書ではない。明治という時代における政治(内政・外交)の意思決定→遂行ドキュメントである。そして、政治について深掘りするためにも 天皇を初めとして意思決定に深く携わった人物が浮き彫り(プラス面もマイナス面も)にされた。岩倉具視・大久保利通・西郷隆盛・伊藤博文等々も。明治維新の37年前、父・孝明天皇の誕生から始まる本書。幕末期のそれにもたっぷり紙数が費やされている。
硬い本の部類に入るが、文章も内容も読みやすく分かりやすく ドンドン読み進めるほどに面白かった。