複雑にして不公平という、日本の「税のタブー」に切り込んだ書である。2019年8月集英社発行。著者は税制の専門家である青山学院大学学長。
「パナマ文書」になぜ日本の政治家の名が出てこないのか→政治家にとって日本が遥かに安全で確実な租税回避地だから
を論証したくだりを初めとして、目からウロコ満載だった。
著者の主張が依って立つ大黒柱は近代民主国家の大原則の一つである租税法律主義、と私は捉えた。日本国憲法84条で「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と定められている。もちろん、その法律もまた憲法の各条項に適合していなければならない。
文章は平易。分かりやすくて内容濃いという、これぞ新書!でもあった。