著者の飼い犬をめぐるエッセイ『犬心』(文藝春秋社、2013年)。
主役はシェパード犬のタケ、準主役が著者およびパピヨン犬のニコとルイ、脇役が著者の家族とその他動物たち。
犬と暮らす素晴らしさと大変さが機微に至るまで描かれている。現代詩の世界で知られる詩人ならではの、素敵な観察眼と表現力で。あ、(私が彼女の詩を読んでチンプンカンプンな)メタファーとかは無し(しいて言えば表紙イラストのタケ・・・シェパードには見えないよね^^;)。読みながらクスッとしたりホロリとさせられたり。
犬を飼っていたり飼ったことがある方にはとりわけ!と思う(私も含めて)。一つだけ引用すると・・・著者が1か月の旅から帰りドアを開けると「『おかあさんのいない間、ずっとこのドアの前で待ってましたよ』という風情のニコ」。ね、それってあるある!でしょう!?
並行して書き込まれているのが、米国に住む著者の 究極の遠距離介護。それができ得たのは(それがギリギリ可能な父親の健康状態だったことも確かだが)父親と「同居」するルイの「おかげ」だった。
いたずらに擬人化することなく犬を犬として真摯に生き物に向き合う著者のスタンスに感服!!