私たちホモ・サピエンスが初めて日本列島に渡ってきたのは後期旧石器時代。そのルートは表紙の通り3つで、古い順に朝鮮半島→、台湾→、ロシア→であった。
ロシアからは陸続きの地形だったが、朝鮮半島→と台湾→は3万年前にも海が隔てていた。すなわち、舟を使ったに他ならない。
人類進化学者である著者は、当時の舟を再現して台湾から与那国島まで実際に漕ぎ渡るプロジェクトを主宰。本書はその記録である。
・草たば舟と竹いかだ舟と丸木舟。台湾の植生を踏まえて当時の道具と技術で製作が可能だった3候補のうち、流れが速く幅が広い黒潮を横切れるのは?
・そもそも人力で漕ぎ渡れるものなのか?(帆船の登場はもっと歴史が下ってからである)
・高い山々の有無により与那国島から台湾は見えるが逆は見えないのに、その存在をどうして知ったか?
・といった諸々アゲインストな大難事にもかかわらず、なぜ海の向こうを目指したのか?
著者(たち)の実践と思索、読み応えがありました。