先週、1974年制作の「砂の器」映画化をCSチャンネルで見ました。1970年代に劇場で観たときには思わなかったことをいくつか・・・
・渥美清出演シーン。「寅さん」が出てきただけで館内大爆笑だった(私も!)ものですが、家テレビではゼンゼン笑いませんでした。もし初見が家だったとしても、せいぜいクスッだけだったことでしょう。それは、映画は劇場で観なきゃ!の理由にもなります。
・療養施設に居るハンセン病元患者自身の承諾は得ず「医師と看護婦立会いのもと」彼に届いていた手紙を丹波刑事が読みました。そのくだりを 当時は制作側も私を含めた大多数の観客も問題とは思わなかったのだなあ、と。ろう者を「欠格」者とする法律が疑問に思われなかったように。
その中で著者の北川清氏による「ハンセン病と差別意識」というコラムに「ハンセン病に限らず、特殊な出自、中国や朝鮮などの外国人、身体障害者、エイズ患者、そして新型コロナウイルス患者に至るまで、明確な差別意識どころか、むしろ正義感を持って異端とされる人々を排除する国民性は連綿として現代に引き継がれている」というくだりがあります。
本書は2010年に発行された『松本清張地図帖』に加筆修正された増補版なのですが、『地図で読む~』の「〜そして新型コロナウイルス患者〜」の所が10年前の『~地図帖』では「〜そして新型インフルエンザ患者〜」になっていました。
まさに10年後の今もなお「〜国民性は連綿として現代に引き継がれてい」る!と、あらためて考えさせられました。