初めてピアノを弾いたとき「楽しいという感じはぜんぜんしなかった」幼稚園時代から、北極圏を旅して地球環境への思いを新たにした2008年秋まで、語り尽くしました。2009年刊行。
移り住んだニューヨークで、2001年911に遭遇。そのときを略略次のように回想します。
人は非常時には全方面に過敏になり、感覚の許容度を超えてしまうので、音楽はできなくなる。やがて喪に服するために初めて音楽が必要になる(本書220ページ)。
とても深い洞察と思いました。
当然ながら音楽の話が多いですが、私のような門外漢でも「分からない」ストレスは全く感じませんでした。語り相手を担った月刊誌『エンジン』鈴木正文編集長の手腕も大なのでしょう。
親しい人を亡くした時いつも感じるのはいかに自分がその人のことを知らないかと繰り返し語っている坂本龍一氏。
この3月28日、71歳で亡くなりました。