6篇からなる短編集です。
表題作は・・・
太陽の内部で水素がヘリウムに変わるスピードが加速していることに、天体物理学者たちが気づいた。計算上、400年後に大爆発を起こす。そのあと赤色巨星になり、その直径は地球の公転軌道より大きくなる。地球はもちろん、太陽系が滅亡するのだ。
我々が生き残る唯一の解。地球の自転を止めた上で巨大なエンジンを設置して太陽系を脱出、最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリの惑星になるプロジェクトが進む。
地球が「旅立つ」数十年前から物語は始まる。
それにしても昔の人間は、どうして多くの感情を生存に関係ないことに注いでいたのだろう。往時の映画や小説で恋愛に傷つくさま等がとても異様に感じられる。あらゆる宗教は一瞬にして姿を消した。
いよいよ「地球エンジン」をフルパワーで稼働させ、「旅立ち」に成功。しかし、木星を通過したころ「反乱」が起こる。そして・・・
2022年KADOKAWA発行。6編の原著は2000年〜2009年(表題作は2000年)。劉慈欣(リュウジキン)著。大森望・古市雅子訳。
中国で暮らす中国人作家ということも興味深いと言えば興味深いかもしれません。