私が野球を見始めて50余年、この間の私的三大落球は
このうち、70年代の①②について気鋭のスポーツライターだった山際淳司氏が1980~81年にルポを発表しています。
氏に当人がそれぞれ語るところでは、実のところ「落球」ではありません。二人とも捕球体勢を構える前に転倒してしまったのです。グラブにボールはまったく触れていません。
(「あれ、落球じゃないんです」と語る星陵一塁手、初対面の相手に「甲子園で落球した、あの一塁手です」と自分の方から言うとのことですが。)
1948年生まれの山際氏は1995年に早逝しました。健在なら必ず③もルポ化したことでしょう。
①は「八月のカクテル光線」として『スローカーブを、もう一球』(写真右)に、②は「落球伝説」として『江夏の21球』(写真左)に収められています。
『江夏の21球』は没後20年近い2017年に編まれた、代表作である表題作を始めとしたベスト選。ですが、「落球伝説」は収録されていません。
延長16回裏のあのフライが捕球されていればゲームセットで箕島高の春夏連覇は絶たれていたという野球史に残る題材と言い、ルポそのものの出来映えと言い、選ばれてしかるべきなのにナゼ?を私なりに推測すると、、、
両野球強豪校の両超有名監督が日常的に選手を殴って「鍛えて」いた、箕島のキャプテンはおたふく風邪で高熱にもかかわらずフル出場、それらに対する批判的な目線はなく(後者を「美しい話」と書いている)、、、
すなわち、40年前の時点では大手出版社の編集や校閲を問題なく通過するほどにこれらは「肯定」されていたのでしょうが、現在では「否定」されるからではないでしょうか。
球児たちが初めて体験するナイター甲子園カクテル光線の見惚れるほどの美しさ、のくだりも私は好きです。
私自身は何十年も前から、およそ体罰を否としています↓