ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

「戦犯裁判」を知り、考えるために

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写真左は2009年、右は2010年刊。日本経済新聞出版社

日経新聞の井上記者が、今世紀になって国立公文書館で初公開された裁判記録を中心に史資料を読み解きます。さすがは大手新聞のベテラン記者と言うべきか、膨大な史資料を手際よく配し、文章もたいへん分かりやすい。章分けされたテーマ毎(左は検察側立証、弁護側立証など。右は捕虜虐待、市民虐待など。)に昭和史専門家(半藤氏 保阪氏 秦氏)による討議が付されています。
だから、分厚いながら苦もなく読み進めることができます。

戦犯裁判は 21世紀の日本に生きる私たちにとって原点とも言えるのではないでしょうか(いい意味でも悪い意味でもふつうの意味でも)。
この二冊をお薦めしたいと思います。

なお、本書に限らず戦犯裁判に関する本にはたいてい書いてあることですが
A級(被告は東京裁判のみ)は「平和に対する罪」、B級は「通例の戦争犯罪」、C級は「人道に対する罪」。すなわち あくまでも「戦争犯罪」の分類記号であり、「優勝を逃した巨人軍のA級戦犯」(いみじくも「軍」^^;)といった俗用のようにA級が重大事案だったり その被告は重要人物だったりの意味ではありません(事実上はそうとも言えますが)。

 

新書あれこれ

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新書の老舗を一つ挙げるなら岩波、二つ挙げるなら岩波と中公、三つ挙げるなら岩波と中公と講談社、と言えましょうが
その講談社現代新書の装丁、いつの頃からかシックな(または味も素っ気もない)モノに変わりましたね。前のヤツの方が好きだったなあ。*写真は、本棚で目についたのを撮ったまでです。

新書が玉石混交なのは むかしっからと思いますが、3老舗が君臨していた頃は玉がだいぶん多かったような気がします。はたして今は?
(石には、「識者」のお喋り もとい口述を編集者あたりが聞き書きしたよなシロモノを含む^^;)

豪栄道のお母さん、ステキ

花道脇に座っていた 豪栄道のお母さん、土俵に向かう息子が横を通るとき 振り幅小さーく拍手する姿、とってもヨカッタ♬

豪栄道の母・沢井真弓さん初V感激「産んだかいがあった」/秋場所 (1/2ページ) - スポーツ - SANSPO.COM(サンスポ)

↑サンスポ写真の一番後ろに写っている女性です。私がテレビで見た取組み前よりは少しだけ振り幅が大きくなっているようです。やっぱり勝った後だからかな。

三木卓『K』

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同年代のあいだでは結婚何周年の話題がときどき出ますが

刊行された2012年に評判になった三木卓『K』は

「Kのことを書く。Kとはぼくの死んだ配偶者で~」と書き出され

何十年間も夫婦であった妻に対する心情と

夫が想像する、妻の心情が綴られています。

二人とも作家で「創作のために」長く別居するなど私どもとは全然共通性がない話も、所々で覚えた共感(およそ夫婦の普遍性?)も、全体にわたって読み応えがありました。

津村記久子『うそコンシェルジュ』

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『新潮』9月号で、津村記久子を初めて読みました。

二段組19ページの短短編。
「うそを見破れないけれども、うそがばれたこともない」と冒頭で語る小林みのりは、30代半ば(『コンビニ人間』主人公と同年代)の「仕事に疲れた地味な女」。
姪から「うそコンシェルジュ」を頼まれて・・・

著者の作をもっと読んでみたいと思いました。

『新潮』9月号を借りたのは、社会学者岸政彦の初小説が載っているからです。
次作を読みたいとは思えませんでした。

miyashinkun.hatenablog.com

世田谷八幡宮 奉納相撲(9月17日)

 幕内の新鋭、正代が3年前に卒業した東農大相撲部。

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見事!な股割り

 

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むかしテレビで サッカー女子日本代表佐々木監督が「蹴る瞬間は必ず片足で立っている。四股とサッカーは片足でバランスを保つのが共通している」と言っていました。

珠玉のラスト☆平野啓一郎『マチネの終わりに』

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 なんとなく平野啓一郎は難解(文章も内容も)と思い込んでいたが、本作は さにあらず だった。新聞小説だからか やっぱり単なる思い込みだったか。

 ひとことで言うとしたら、恋愛小説。アラフォー同士の、クラシックギタリストの彼と、フランス通信社の記者である クロアチア人とのハーフの彼女との。
 すれ違い を軸に進む。『君の名は』(「真知子巻き」のほうね)ほか恋愛物の 定石と言えるだろう すれ違いは 携帯電話の普及で禁じ手になったとも言われるが、本作では携帯電話が有るがゆえに すれ違う。
 一般的な「未来は変えられるが 過去は変えられない」とは真逆の、序盤で彼が語る「未来は常に過去を変えている。変えられるとも言えるし 変わってしまうとも言える。過去はそれくらい繊細で感じやすいもの」が 全体を通しての(二人以外の登場人物にとっても)キーになっている。

 「マチネの終わりに」展開するラストがとてもとても美しい。
 読んでよかった!と心から思える一冊。今年4月発刊。

※今ヒット中『君の名は。』のすれ違い は意味が違うようですね。

即席ラーメンと言えば

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即席ラーメン界の私的MVPは「サッポロ一番」です。他の銘柄とはなんか違うんだよなあ(私、けっしてマワシモノではございません)。味の好みは みそ≧しょうゆ>>しお。

中坊のとき、袋から四角いモノを引っ張り出し粉末スープを振りかけてバリバリと貪り食らったほどです^^;(このバアイはしょうゆがイチバン)。

即席ラーメン、というコトバも好き!

とかく赤ちゃんは・・・♬

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ペンギンのショーを見ているとき

隣でお母さんに抱かれていた赤ちゃんが ヒト57歳♂をジーッと見ていることに

ヒト57歳♂はフト気付きました^^;

(池袋サンシャイン水族館

 

シードラゴン

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3Dプリンターで作った宿(ヤドカリの)

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3Dプリンターで作った宿(ヤド)で暮らす宿借り(ヤドカリ)です↑。アーチストのAKI INOMATAさんが作成。池袋のサンシャイン水族館で特別展示↓されていました(9月25日まで)。

http://co.sunshinecity.co.jp/news-release/pdf/mecg160708_dory2.pdf

 INOMATAさんの公式サイト↓によると「CTスキャンで自然の貝殻の内部構造を計測し、3DCGで制作したデータを3Dプリンターで出力」。ヤドカリが「気に入」ったら入ってくれるとのことです。サイト↓に、ハッキリ分かる画像と映像があります。

AKI INOMATA Official Site

 

オマケ♬ 空中?を泳ぐアシカ

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岸政彦『断片的なものの社会学』

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タイトルを見てどんな中身を想像されるでしょうか。社会学の専門書(とは思わないでしょうけど)? 社会学の一般書? 社会学者による軽めのエッセイ?

どれも違います。

1967年生まれの社会学者たる著者が行なうたくさんの聞き取り調査で得られた語りには 研究の題材には至らない様々な「断片」がある、、、それをとっかかりにして考えを深めると言うより思いを巡らした一冊です。著者の心の揺れそのままに文中「わからない」が何度も出てきます。(聞き取りはあらゆる階層の人に行なっているとのことですが、本書で取り上げられた「断片」は全ていわゆる「下流」です。)

自由とは? 自分とは? 人と人との繋がりとは? ふつうとは?(芥川賞『コンビニ人間』とは別の角度から) マイノリティとは?そしてマジョリティとは? 

著者とともに、大いに考えさせられました。

2015年発行。