ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

『死刑賛成弁護士』

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   日本弁護士連合会が会として「死刑反対」を掲げていると言っても、弁護士は何万人もいるのだから当然に「死刑賛成」もいることでしょう。12人の弁護士が「死刑賛成」の立場からの視点を提示します。


   視点の一つが、官憲による犯罪者の現場射殺。民主主義国のデータを挙げると、州によっては死刑を廃止している米国で2019年が1004件(歪なまでに黒人比率が高いことが今また問題になっているが)、死刑廃止国フランスで2018年に15人、同じく死刑廃止国のドイツでは(「射殺」ではなく「殺害」と記されているが)2018年に11人。対して死刑存置国の日本は2000年からの20年間で10人。

   射殺に至った状況はもちろん様々でしょうが、死刑制度と比較する当否は措くとして、「死刑反対」の理由の一つ「公権力による殺人は許されない」というテーゼに照らしてどう考えるか。裁判を経ている経ていないというファクターも併せ考えるべきでしょう。


   12人各々の文章は短く議論が深まっているとは必ずしも言えませんが、死刑制度について自分の頭で考えるための手がかりになる一冊です。考え抜いた末、結論が「反対」に至る人もいることでしょう。


   闇サイト殺人事件と心斎橋通り魔殺人事件と熊谷連続殺人事件の被害者遺族からの「手紙」も収められています。20207月発行。