日本語もすこぶる堪能な著者。
日韓両国語版のある前書『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』は「何よりも、韓国の人々に読んでほしいという気持ちが強かった」(本書「はじめに」)ので韓国で先に刊行されました。
本書は日本で先に出版。「まずは、日本の読者に読んでほしい」(「はじめに」)からです。
著者は本書で、慰安婦問題と元徴用工問題および両問題の根幹となっている1910年日韓併合と1965年日韓協定について緻密に歴史を辿り、丁寧に論考を進めました。
著者は
この30年、歴史問題に関わった両極の人たちは異なる意見にも耳を貸すような「ダイアローグ=対話」ではなく、自己主張に終わるモノローグに徹してきた。
ことを深く憂え、
今こそ、国境を超えて「日本人」や「韓国・朝鮮人」以前の個人への想像力を育てたいものです。
不信の念を植え付ける言葉に煽られていては、未来は開けない。「常識」や政治陣営にとらわれずに歴史と向かい合おう。
という強い思いが著者にはあります。
前書↓同様「両極」どちらにも批判を加える著者は「孤独な闘い」がまだまだ続くかもしれません。