ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

スパイ→旅人→市井の生活者 沢木耕太郎著『天路の旅人』

 西川一三氏は大日本帝国のスパイであった。1943年10月、中国大陸奥深くへの潜入行を開始する。敗戦により任務が終わっても1950年5月まで歩みを止めなかった。
 ルートは本書掲載↓の通り。


 文字通り山を越え川を渡り、そして行く先々で異民族たちと時には命がけの交流や交渉を重ねた。
 元々は「お国のため」の行路だったが、「国」その他あらゆる属性意識が次第に消えていき、「旅人」としての「天路」と化す。
 帰国後は、大向こう受けはしないが堅実な定職を半世紀にわたって続けた。

 沢木氏から二年越しのインタビューを生前に受け、西川氏がそのときどきの心情を語りました。沢木氏こそ「聞く力」の持ち主だなあ。それを元に、余人をもって代えがたい筆力と洞察力で等身大の西川一三が描き出されました(沢木氏の他ノンフィクション同様に)。新潮社 2022年10月発行。

(他ノンフィクション、例えば↓)

miyashinkun.hatenablog.com