ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

6年前の立花隆氏『死はこわくない』

f:id:miyashinkun:20210712115858j:plain「私は今年七五歳です。足腰は衰え、昔のように走ることも、階段を駆けあがることもできなくなりました。ついこの間も、食事中に下の歯の一部が欠けてしまい、老いの進行を強く感じました。同級生たちも次々と死んでいますし、自分より若い人も亡くなっている。自分もいずれ、それほど遠くない時期に死を迎えるにちがいないということが実感として理解できるようになりました。」
と語り始められます。インタビュー2編と講演1編が収められ、文藝春秋社2015年12月発行。氏は2021年4月30日に80歳で亡くなりました。

 本書では、死に関するサイエンスを余すところなく理解した上で宗教や哲学も踏まえて、自身の死生観が述べられています。

 氏は高度難解な研究や理論を分かりやすく著述することに腐心してきましたが、語りにおいてもそれは同様。『臨死体験』等自身の著作も要点がコンパクトに紹介されていて、それらを読む必要がないほどです(笑)。

 まさに氏が最後に追求していたテーマ(の一つ)が「人の死」であったのは周知の通り。氏のことなので、自身の死に至るプロセスを報じる手立てを探っていたのでは? あるいは、「人の死」について突き詰め考え抜いた末にジャーナリストたるを超越してただただ静かに「プロセス」を受容したのかもしれません。
 本書を読んで、どちらとも思えました。