ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

聖書の副読本に!『証し 日本のキリスト者』

絶対音感』等で知られるノンフィクション作家最相葉月氏著(角川書店2022年12月発行)

 小さめのフォントで千ページ余りにわたって、30歳代〜90歳代135人ものクリスチャンへのインタビューが収められています。取材期間は2016〜2022年。北海道から沖縄そして小笠原諸島まで訪ね歩いて。
 聖職に就いている方も多数含まれていますが、いわゆる有名人は皆無。市井の人々が己の信仰を語ります。
 心が求め、心が癒され、ときには反発や懐疑も覚えながら(疑いを抱いたことは一度もないと言う人もまた少なからず)、心で学ぶ。彼ら彼女らの人生には135人135様のアゲインストもあれど現世利益を求める者など一人もいませんでした。

 おかしな言い方かもしれませんが、本作は聖書の副読本に相応しいと思います。

 私自身はキリスト教に限らず特定の信仰を持っていません。けれど、信仰は人間の崇高な心のありようだとかねてより思っています。本作を読んで改めてそう感じました。

 この日本では「宗教は心の弱い人がすがるもの、以上!」と決めつける向きが少なくありません。だけど、135人の中にそれが当てはまる人は全くいませんでした(信仰を深めていくうちに自分の心の弱さを知ったと内省する人はいました)。

 遺跡等で確定している通り何万年も前から人類は超自然的な物事への信仰を持ってきました。そもそも他の動物と分つ人間とは?の定義として「信仰(という崇高な心)を持つ動物」とも言えるのではないでしょうか。

 カルトによる被害者少なからず、なにより宗教が戦争の大義名分になってきた、といった現実に決して目を瞑ってはならないのはもちろんです。
 しかしながら、そのこととここで私が綴ってきたことは両立すると思います。