著者は、京大前総長の山極寿一氏。アフリカのゴリラ社会で過ごしながら研究してきました。本書は2012年くもん出版発行。
野生ゴリラのなかで山極氏が取りわけ親しくなったのが♂のタイタス。抱き合わなければ居られない狭い洞で一緒に2時間雨宿りをしたほどタイタスは氏に心を許していました。
26年ぶりの再会。初めて出会ったとき6歳だったタイタスは34歳(人間なら60歳超に相当)になり、56歳になった氏を覚えていました。そして近くにいた子ゴリラたちと取っ組み合って遊び始めたのです。
「わたしの顔や姿に昔のわたしを認め、(中略)つい昔の自分にもどってしまったのだろう。そういうことは、わたしたち人間にもよくあることだ。人間のように言葉をもたないゴリラは、頭だけでなく全身で過去に戻るのかもしれない」。
遊びに誘うときやケンカを仲裁するときゴリラ同士がしばしば15センチメートルまで顔と顔を近づけるのは相手の心を知るため等々、観察された行動とその解釈をたくさん記した一冊です。
ゴリラの「賢さ」は動物園でも観察できます↓