故河野裕子氏と永田和宏氏夫婦は歌人として知られ、永田氏は細胞生物学者としても知られています。
知り合った学生時代から2010年に河野氏がガンのため64歳で亡くなるまで40年間に二人が詠んだ計380首、そのときどきの河野氏エッセイが収められ、冒頭と末尾の文章を永田氏が書き下ろしています。
一気読みさせられるほどに、全体を通して深くて濃い「人間ドラマ」(なる陳腐な言いようはおよそ本書に相応しくないが)でもありました。
亡くなる4日前から前日まで苦しみながら(口述筆記によって)詠んだ、ということそのものに驚嘆する他ない、10首も収められています。しかも、いずれも秀歌です(詩心不十分な私でもそれぐらいは分かる)。
そして「しかも」と言うべきか「だから」と言うべきか、詩心不十分な私には難解な作もあったなかで、この10首はとてもわかりやすかったです。
タイトルは二人が出会ったころ河野氏が詠んだ
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに 私をさらつて行つてはくれぬか
から採られました。2011年発行。
「妻が詩人」もう2冊↓↓