ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

丸谷才一『合本 挨拶はたいへんだ』

 丸谷才一氏が結婚披露宴や葬儀や授賞式等々で行った祝辞や弔辞や謝辞等々のスピーチを集めた一冊。
 1988年発行『挨拶はむづかしい』と2004年『挨拶はたいへんだ』が2013年に合本されました。

 

 何十年も前ですが、丸谷氏のことを私は「旧かなづかいに拘る頑固なオッサン」(失礼極まりない言いようスミマセン)と思い込んで何となく敬遠していました。
 しかし『たった一人の反乱』を読み始めてみたら頗る面白くも読み応えとても深く、『女ざかり』(
1993年)までのほぼ全作を読み通したものです。

 

 やはり私がハマった小説家の一人が村上春樹氏(長編を全作読んでいます)。
 村上氏が『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で谷崎賞を受賞した贈呈式での選考委員としてのスピーチも収められていて、「この長編小説は現代日本小説の約束事にそむいてゐます」などと絶賛しています。

 

 当代を代表するジャーナリスト立花隆氏に対しては「日本語の文体に革命をもたらしました」「立花さんの思考と論證と表現による闘ひ方はまことに水際立つたもので、喧嘩の名人」「そのお書きになるものから推して、ユーモアの感覚が非常に豊かな人なのに、冗談の言ひ方で勝負をしようとしない」。

 

 私がまたハマった小説家の一人でもある井上ひさし(多作で鳴る氏、とてもとても全作などは及びもつきませんが)との対談「スピーチでできること」も収録。
 両名ならではのウイットに富むやり取りの端々に、命がけレベルで「言葉」を大切にしているさまが伺えます。

 

 スピーチ相手たち(もちろん丸谷氏も)を描いた和田誠の似顔絵も、とってもいい感じ。

 

 ここで名を挙げた5人のうち4人が故人ですね。

 

 故人つながりというわけでもありませんが、河合隼雄氏スピーチのウイット↓

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